2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00756
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
館山 佳尚 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノシステム構築ユニット, グループリーダー
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FRONZI M. (独)物質・材料研究機構, ナノシステム構築ユニット, 外国人特別研究員
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Keywords | 密度汎関数理論 / プロトン移動 / 欠陥 / 第一原理分子動力学 / 電解質材料 |
Research Abstract |
平成23年度には密度汎関数理論をベースとした第一原理分子動力学(MD)シミュレーションを用いて固体酸化物型燃料電池の電解質物質の一つである立方晶ペロブスカイト型ジルコニア酸バリウム(BaZrO3)の構造及び電子状態、およびそのプロトン移動度について解析を行った。Quantum-EspressoプログラムのCar-Parrinelloコードを用い、PBE交換相関汎関数とウルトラソフト擬ポテンシャルを使用した。ダイナミクスに関しては、電子波動関数の仮想質量として150a.u.を用い、実際に燃料電池が動作する1300Kに温度を設定し、カノニカル平均を取った。計算には41および135原子のスーパーセルを使った。 まず構造最適化を実行し、得られた結晶格子定数や水素-酸素間距離が実喉および過去の計算と一致することを確認した。射影DensityofStates(DOS)により、プロトンのそばにいる酸素原子の2pレベルが他と酸素とはっきり違うことが示された。これはこのプロトンと酸素の間に強い共有結合が形成されていることを示している。1300Kにおける第一原理MDシミュレーションで得られた格子定数の平均値は、実験値から格子定数の熱膨張率を考慮して見積もった値と程よい一致を見た。プロトン移動については、(1)緩和格子、(2)2%膨張、および(3)2%圧縮の三種類の歪み条件で、平均二乗変位を用いた方法でプロトンの拡散係数を計算した。その結果、条件(1)と(2)はほとんど変わらず、一方(3)では著しく増加するという結果が得られ、歪みとプロトン移動度の間に非線形な関係があることが示された。 速度相関関数をフーリエ変換して得られた振動DOSは条件(1),(2),(3)とも大きな違いは見られなかった。一方プロトンと酸素の対相関関数を計算した所、条件(3)だけ大きく変化することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3月11日の大地震に関連した避難およびスーパーコンピューターの停止により研究の進展は数ヶ月単位で遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
同時進行しているもう一つのテーマである酸化ジルコニウム-酸化セリウム界面の空孔形成・拡散メカニズムおよびその不純物効果について論文出版への到達を目指す。またジルコニア酸バリウムの系で得られた、歪みに対するプロトン移動度の非線形関係のメカニズムを明らかにし、どのような条件でプロトン移動度が最大となるか見積もることを試みる予定である。
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Research Products
(2 results)