2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00775
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 節 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALABIDI Laila 京都大学, 基礎物理学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | インフレーション宇宙 / 宇宙論的非線形揺らぎ / 宇宙論的非ガウス揺らぎ |
Research Abstract |
H22年度は、11月からの研究開始であったので、H23年度からの本課題の本格的遂行に向けての準備期間として、まずこれまでの研究成果の整理を行った。特に、様々なインフレーション宇宙モデルの中で、曲率揺らぎがどのように生成されるかを詳しく調べ、大きな非ガウス的曲率揺らぎが生成されるモデルの共通点を解析した。この一つの結果として、いわゆる変調再加熱(modulated reheating)モデルを非線形のエネルギー移送を考慮したモデルに拡張することができた。この成果を論文として発表した。その後、以下の2つのテーマに関して、準備的研究を開始した。 1.最近大きな関心を呼んでいる宇宙論的課題に摂動の2次での重力波生成とその検出問題がある。特にそうした重力波の検出、あるいは非検出によってインフレーション宇宙モデルに強い制限がつくと考えられている。そこで、2次で大きな重力波が生成される場合の原始ブラックホール生成や極小スケールでのダークマターハローの生成可能性とその観測的予言について研究を開始した。 2.もうひとつは、いわゆるリッジ・ポテンシャルを持つインフレーションモデルにおける非ガウス的曲率揺らぎの評価である。リッジ・ポテンシャルモデルとは、スカラー場の軌道が、ポテンシャルの尾根上を微妙なバランスを保って進むモデルであり、インフレーションはその尾根から落下することで終わるため、一般に大きな非ガウス的曲率揺らぎを生成すると考えられる。そこで、この最後の尾根からの落下の仕方と非ガウス性の大きさとの関係を調べている。これによって非ガウス的曲率揺らぎの生成機構の理解がさらに深まると期待している。
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Research Products
(1 results)