2011 Fiscal Year Annual Research Report
病原体が持つ抗原変異多コピー遺伝子ファミリーのメタゲノム解析
Project/Area Number |
10F00786
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
五斗 進 京都大学, 化学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOANNIN N.K. 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 抗原変異 / 多コピー遺伝子ファミリー / 配列解析 / データベース / マラリア原虫 / メタゲノム / 病原微生物 |
Research Abstract |
本研究の目的は、病原微生物が抗原変異性を獲得してきたメカニズムを遺伝子配列の計算機解析によって解明することである。抗原変異は多くの病原微生物がホストの免疫系を逃れるために獲得してきた仕組みであり、ある種の病原微生物に対するワクチン開発が困難な理由の一つとなっている。そこで本研究では抗原変異に関わる遺伝子ファミリーを収集し、その配列を比較することにより抗原性獲得、特に配列多様性の獲得メカニズムについて明らかにする。このような解析は個々の遺伝子ファミリーではこれまでも進められてきたが、複数の遺伝子ファミリー、複数の生物種で解析するためのリソースはなかった。そのため、本研究ではデータベースをはじめとする計算機リソースを開発し、世界中の研究者がワクチン開発などに応用できるような解析環境も整備する。 本年度も、米国ブロード研究所からのデータ公開が遅れているため、データベース開発に重点を置き、解析はvarDBに登録しているデータで行った。varDBの更新は4ヶ月ごとに計4回実施し、遺伝子配列数で約2,000、タンパク質配列数で約1,300のデータを追加した。データ管理方法や検索・解析インタフェースの改良も検討し、リファレンスゲノム情報だけでなくサンプル、菌株、個体の情報を管理する枠組みを設計した。具体的にはPlasmoDBなど多くの病原微生物ゲノムデータベースで採用されているGUS(Genome Unified Schema)を利用したデータの管理とインタフェースの改良を進めている。ゲノムから抗原変異遺伝子ファミリーを検出する方法については、ファミリーサイズの大きさに着目し、パラロググループから候補を検出する方法を検討した。また、サブファミリーへの分類についてはpir(Plasmodium interspersed repeat)ファミリーに着目し、霊長類とげっ歯類のマラリア原虫で分類した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ解析について、提供元からのデータの公開が遅れているため、もともと予定していたデータセットを用いた解析は進んでいない。しかし、それ以外のデータを用いた解析で代用しているため方法論の開発やデータベースの開発部分については順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もメタゲノムデータが公開されないようであれば、別の共同研究先で出している実験室株のマラリア原虫と、その200世代子孫のゲノムデータを用いた比較解析で代用する予定である。varDBの改良については、本研究での設計に基づくバージョンを11月までに公開する。
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