2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジアとヨーロッパの国家間和解を比較研究し地域統合と二国間和解の相関性を検証する
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10F00789
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武内 和彦 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HEO Seunghoon 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 外国人特別研究員
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Keywords | 敵国間の和解 / 文化・人種・宗教の多様性 / 普遍的兄弟愛 / 国民アイデンティティ / 地域統合 |
Research Abstract |
平成23年4月には、韓国・ソウルにあるSuhmoon女子高等学校とSehwa女子中学校において、近年の若者の文化の多様性における見解を得るためにインタビューを行った。この結果は9月にオーストラリアのクイーンズランド大学における国際関係学会(IAS)Asia-Pacific Inaugural Conferenceにおいて「東アジアにおける文化と宗教の多様性に向き合う:「他者」の容認は人類の脅威か、それとも豊かさか?」という題目で論文を発表した。5月には韓国議会において普遍的兄弟愛と国際政治について講義を行った。6月にはJSPSが主催するサイエンス・ダイアログ事業に参加した。筑波大学付属駒場高等学校の学生に「文化と人種の多様性に直面して:国際関係の研究者の人生」という題目で講義を行い、日本と韓国の若者の見解の違いを比較するため、文化の多様性に関する調査を行った。この時期に、ラップトップコンピューターとマイクロソフトプログラムを購入したことにより、自身の研究とデータベース検索を効果的に行っている。 9月には29日から30日までオーストラリアのクイーンズランド大学にて開催された国際関係学会(IAS)のAsia Pacific Regional Section Inaugural Conferenceに参加した。パネルI第9ストリーム「安全保障と社会の評論展望」において「東アジアにおける文化と宗教の多様性に向き合う:「他者」の容認は人類の脅威か、それとも豊かさか?」という題目の論文を発表した。本論は、現代の最も難解な課題の一つである「他者」に出会うことは人類の脅威となるか豊かさとなるかについて論じた。10月8日、9日に京都大学にて開催された第2回「人間の安全保障のための持続可能な未来」国際会議において「東アジアの持続可能な平和に向けて」という題目の自身の論文を発表することが承諾された。平成23年12月20日及び平成24年1月30日にはJSPS主催のオリエンテーションセッションへ招聘された。また、平成24年4月に出版された単著「ヨーロッパおよびアジアにおける敵国間の和解」の編集に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間の管理、JSPSからの充分な金銭面での援助、学術的に恵まれた環境から、昨年計画したとおりに研究を進めることができた。自身が参加した一番大きな会議は平成23年9月に参加したクイーンズランド大学で開催された国際関係学会(ISA)の会議であり、自身の研究の一部である東アジアにおける文化・人種・宗教の多様性について発表した。また、最も重要な出版物としては、平成24年4月27日に著名なPalgrave Macmillan出版社から単著が出版されたことである。一般の関心が集まると、Korea Times紙にも書評が掲載された。残念に思う点は、日本の学術界やマスメディアへのアクセスが限られてることである。自身の単著は韓国と日本の和解についての出版物であるため、日本の学術界からの関心を引くことができればと願っている。このため、現在日本語学習にも力を入れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年以上掛けて取り組んできた「ヨーロッパおよびアジアにおける敵国間の和解」がPalgrave Macmillan出版社から単著として平成24年4月に出版された。このため、今後はセミナー、会議、出版記念イベントにて本の宣伝活動を行う予定である。加えて、5月には国連大学のサステイナビリティと平和科の修士学生に対して、社会科学における研究方法についての講義を行う。4月30日から5月7日までは韓国議会員との準備会議を予定しており、ソウル大学校と高麗大学校において自身の出版書に関する講義を予定している。また、韓国議会の研究団体である「Political Forum for Unity」で活動を続ける予定で、7月末までに二つの論文を執筆する予定である。出版記念イベントはソウル・ジュネーブ・東京で開催予定である。8月にはジョンズ・ホプキンス大学のAmerican Institute for German Studiesの招聘で、Lily Gardner Feldman教授の監督の下、日本とドイツ間の和解の比較研究のプロジェクトチームに参加予定である。また、国連大学サステイナビリティと平和研究所にて自身の研究結果についての最終発表も予定している。
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