2011 Fiscal Year Annual Research Report
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10F00801
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
五斗 進 京都大学, 化学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIRWAN G.M. 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 変数選択 / オミックスデータ / OPLS / O2PLS / システム生物学 / 脂質・脂肪酸 / 循環器疾患 / SUSプロット |
Research Abstract |
動脈硬化などに代表される循環器疾患では、その発症メカニズムの解明と治療法の確立が大きな課題となっている。本研究では、循環器疾患の発症メカニズムを解明するための、複数オミックスデータ解析法を開発することを目的とする。平成23年度は、多様なオミックスデータに基づいた定量的なシステム生物学モデルを構築するための、複数の多変量解析手法を組み合わせて用いるワークフローを設計した。ここでは、OPLS(実際に適用したのはOPLS-DA: Discriminate Analysis)に加え、PCA(Principal Component Analysis)とO2PLS(Orthogonal 2 Projection to Latent Structure)を相補的に組み合わせ、大規模で多種のゆらぎ依存データを統合して解析する方法を採用した。また、新たにO2PLSにおいてSUS(Shared and Unique Structures)プロットを適用する方法を提案した。 さらに、設計したワークフローの有効性を示すために、高コレステロール食、低コレステロール食、通常の食事を与えた3種類のマウスから得られた血中および肝臓中の脂質分子と遊離脂肪酸を定量したデータに応用した。ここで、脂質分子と遊離脂肪酸とは異なる解析プラットフォームで同定されたオミックスデータである。OPLS-DAでサンプル間(高コレステロール、低コレステロール、コントロール)の違い、O2PLSで異なるプラットフォーム(脂質、遊離脂肪酸)の違いを抽出することができ、SUSでOPLS-DAとO2PLSとを比較することによって、サンプル間での有意に異なる分子を明確に見出すことができた。現在共同研究者と生物学的な解釈を進めており、その結果を論文として投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数オミックスデータの統合解析手法の開発については、サンプルデータへの提供も含めて順調に進展している。脂質と脂肪酸のデータについては随時追加しているが、パスウェイ情報と関連付けられるものを中心としているため、網羅的にカバーするにはいたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
解析手法の開発については、これまでに報告されている大腸菌などの複数オミックスデータ(遺伝子発現情報と代謝化合物の定量情報など)を適用し、方法論の有効性を示すとともに、動脈硬化症のデータを解析し、その発症メカニズムの一旦を明らかにする。データについては引き続き必要なものについては追加するが、意味解釈に必要なパスウェイや疾患と関連付けられているものを中心とする。
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