2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳ステロイドホルモン合成の増強によるアルツハイマー病治療法の研究
Project/Area Number |
10F00803
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川戸 佳 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BARRON Anna 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 性ステロイド / 脳 / 海馬 / アルツハイマー / TSPO |
Research Abstract |
(1)コレステロールをミトコンドリアに運ぶTranslocator protein receptor(TSPO)のmRNAがラット海馬や視床下部などで高発現していることを世界で始めて発見した。これまでは、TSPOの放射性リガンドを用いた結合分布に基ずき、TSPOは脳ではグリア細胞に非常に低発現しているのみであると思われていた。TSPOは良い抗体も存在しない。今回はプライマーを特別に設計してRC-PCR解析を行ったところ予想外の高発現で、脳ステロイド合成酵素の中でも一番発現量が多かった。これによりTSPOアゴニストであるRo5-486の投与で、海馬で脳ステロイド合成が上昇する効果が期待できる。現在実験継続中である。 (2)アルツハイマーモデルマウス3xTg ADを用いて、Ro5-486を投与したところ、若い7ヶ月齢では男性ホルモンのテストステロンの濃度が上昇していることを質量分析で見出した。老化した12ヶ月齢ではテストステロンの濃度は上昇していなかった。老化のせいで応答が弱くなったものと考えられる。プレグネノロン・プロゲステロン濃度には、老若共に変化は無かった (3)神経行動学的解析によって、精巣摘出をいったラットにRo5-486を皮下投与したところ、認知成績が向上することを見出した。これを男性ホルモンの増加と関連ずけることを目指している。 (4)老化ラットにRo5-486を皮下投与して、神経シナプスが増加するかどうかの実験を継続中である。認知症の治療に効果があるかどうかの実験である。(5)質量分析を用いて、老化ラットでは、テストステロンが1/100くらいに低下することを見出しつつある。
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