2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会教育学における協働論の転換―住民の学習による対等性の構築と地域計画づくり
Project/Area Number |
10J00198
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丹間 康仁 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 協働 / 住民参加 / 学習 / 対等性 / 公共性 / 地域計画 / 学校統廃合 / 中山間地域 |
Research Abstract |
第一に、社会教育学における協働論の理論的不備を指摘するために、協働論の導入過程と理論変遷過程の解明を行った。特に本年度の研究では、1990年代中頃から社会教育学研究において取り沙汰されるようになった協働論に関して、先行研究を整理した。その際、アメリカ行政学における協働論を原著資料にあたって参照した。以上の調査に基づき、社会教育学にこの理論が導入されるに至った系譜、さらに、理論的不備が生じるに至った研究上の起因にアプローチした。その結果、これまで住民と行政のあいだで求められてきた対等性の構築に関して、理論的な修正が求められるとの結論に至った。 第二に、住民と行政の協働における情報、目的、方法の内実を明らかにするために、実践事例の調査を行った。住民と行政が具体的な関係性を築きながら地域計画づくりを行った実践として、学校統廃合の計画検討過程にアプローチした。ここでは、新聞記事検索データベースを用いて、全国から事例を選定して、現地における聞き取り調査と資料収集調査を実施した。この調査によって、住民と行政のあいだでの情報のやり取り、両者の持つ目的の変容過程、施策への取り組み方法の内実を明らかにした。そのなかで、学校統廃合を契機として中山間地域の生活維持と地域再生の取り組みを行っている示唆的な事例として、特に本年度の研究では、島根県益田市種地区に焦点を当てた。本事例については、フィールド・ワークを実施した。地域施設としての公民館を中核にして取り組まれている地域計画づくりの実践について、定性的な解明を行った。
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