2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00222
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊東 杏希子 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 整数論 / イデアル類群 / 類数 / 岩澤不変量 / 二次体 / 判別式 |
Research Abstract |
整数論のうち、二次体の類数の可除性・非可除性、岩澤不変量などについて研究を行った。ディオファントス方程式の正の整数解の個数に着目し、扱う二次体の仮定から「平方因子を持たない」の条件をはずして類数の可除性を考察すること、Lucas数列のprimitive divisorに関する性質に帰着させて解くことのできる類数の可除性やディオファントス方程式の整数解の個数の問題を考察することなど、昨年度から続いているテーマに取り組み、いくつかの結果を得ることができた。また、類数が3で割れる二次体の組・類数が3で割れない二次体の組がそれぞれ無限に存在するかを考察し、結果を得ることができた。具体的には、square-freeな整数m_1,m_2が与えられた時、Q(√<m_1D>),Q(√<m_2D>)の類数がともに3で割れるm_1,m_2と互いに素な二次体の基本判別式Dが無限に存在することを示した。これは小松亨氏の結果の精密化になっている。逆に、Q(√<m_1D>),Q(√<m_2D>)の類数がともに3で割れないm_1,m_2と互いに素な二次体の基本判別式Dが無限に存在することも示した。これはD. Byeon氏の結果の一般化になっている。さらに、保型形式の性質を用いて二次体の類数の非可除性や岩澤不変量に関する問題にも取り組み、虚二次体の類数の非可除性に関する木村巌氏の結果の精密化や岩澤λ不変量が1となる虚二次体に関するD. Byeon氏の結果の精密化を得ることができた。具体的には、「岩澤λ不変量が1となる虚二次体が無限に存在するか?」という問題に関して、扱う虚二次体の基本判別式に合同条件を課した場合についての部分的な結果を得ることができた。これらの結果は、類数の非可除性や岩澤不変量に関する条件を満たす二次体の分布についての問題への一つのアプローチと見ることができるため、必要な研究であると考えている。繰越分の科研費を使用して岩澤理論に関する研究集会に参加し、岩澤理論の専門家に自身の結果を報告することができた。研究内容に関して色々とアドバイスを伺うことができたので、有意義な時間を過ごすことができたと考えている。
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