2010 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物が概日時計を介して光の応答性を内因的に調節するメカニズムの解明
Project/Area Number |
10J00259
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮田 佳奈 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 概日時計 / クロロフィ |
Research Abstract |
私は、シロイヌナズナにおける概日時計の主要な構成因子であるLATE ELONGATED HYPOCOTYL(LHY)とCIRCADIAN CLOCK ASSOCIATED 1(CCA1)の二重欠損変異体(lhy;cca1)で見られる、恒明条件下での濃緑色葉形質に関して研究を行っている。前年度までの研究から、野生型は、1日における明期の長さに関わらず、クロロフィル含量及びa/b比がほぼ一定なのに対し、lhy;cca1では明期の長さに依存してクロロフィルの含量が上昇し、クロロフィルa/b比が低下することが明らかになった。本研究では、概日時計によるクロロフィルの制御メカニズムと生物学的意義の解明を目指している。 本年度の研究から、lhy;cca1で見られるクロロフィル含量の変化には、波長や強さよりも、明期・暗期の長さが重要であり、また、赤色光受容体PHYTOCHROMB(PHYB)はこの制御とは独立にクロロフィル量を制御する事が明らかになった。 また、クロロフィル結合タンパクであるLIGHT HERVESTING COMPLEX II(LHCII)は、lhy;cca1では明期の長さ依存的に増加するが、野生型ではほぼ一定であった。しかし恒明条件下で生育させた野生型とlhy;cca1の間でLHCB2.1,2.2 2.4の発現量・クロロフィルの生合成、分解の関連遺伝子で、顕著な違いは見られない為、恒明条件下のlhy;cca1では、翻訳後の制御の異常により、LHC IIが蓄積し、それに伴いクロロフィル含量が増加していると考えられる。さらに、SHORT VEGETATEVE PHASE(SVP)の変異によりこのLHC IIタンパクの蓄積も抑制され、SVP過剰発現体では、クロロフィル含量・LCH II量の増加が見られることから、SVPが概日時計の下流のクロロフィル含量の制御に強く関わることが示唆された。
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