2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00260
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 大輔 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 土地利用型農業 / 米政策 / 生産調整 / 農地政策 / 取引費用 / 食料安全保障 / 海外進出企業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、土地利用聖農業の再生のための農業政策を立案するための実証的分析、特に米政策と農地政策についての分析を行うことで、日本農業の発展について国民経済的視点から検討を行うことである。また、日本の土地利用型農業の存在意義となる食料安全保障政策についても分析を行う。今年度の研究成果は以下のとおりである。まず、米政策のポリシーミックスの変化を分析する数理モデルを構築した上で、1960年から2006年までの米政策を統一的な枠組みによって分析した。分析結果からは、政府が利用可能なポリシーミックスを変更することによって、生産者に対して生産額に比例した安定的な所得移転を行ってきたことや、米政策による所得移転の手段が政府買入れから生産調整に移行するにつれて、生産者への所得移転が政府負担型から消費者負担型に移行したことなどが明らかになった。分析結果は国際ジャーナルに投稿する予定である。また、農地に関する取引費用が農地流動化をどれだけ阻害しているかを部分均衡分析によって検討した。分析結果から、農地転用や稲作の生産調整などが農地流動化を阻害する効果を持つことや、農地のゾーニングや集落機能の活性化などが農地流動化を促進する効果を持つことが明らかになった。さらに、食料輸入の安定性について分析するために、日系食品関連産業による海外進出と撤退の動向について、独自のデータベースに基づき検討した。分析結果からは、食品関連産業の海外進出が1980年代後半から1990年代にかけて急増したがその後は停滞していること、進出先はアジアが大きな割合を占めており、特に1980年代後半からは中国への進出が急増していることなどが明らかになった。なお、海外進出企業に関する研究の学会報告は、東北関東大震災の影響で大会は中止されたが、大会要旨集の発行をもって報告が行われたものとして学会から認められている。
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