2010 Fiscal Year Annual Research Report
順序付き束群の構造を持つ位相的連絡上の力学系と付随する作用素環の研究
Project/Area Number |
10J00270
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 慎司 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特別研究員DC2
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Keywords | C*環 / 擬束順序付き群 / quasi-lattice ordered group / 力学系 / 位相的連絡 / クンツ・クリーガー唯一性定理 / ゲージ作用による固定部分環 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ファウラーおよびシムズ・イーンドによって提示されたヒルベルト双加群と擬束順序付き群、特に非負整数の直和に付随するC*環を力学系(特に位相的連絡)との関連をふまえて調べることである。半群が非負整数の場合には、ピムスナーおよび勝良によって提案されたC*環になっていることが知られている。今までの研究代表者の研究で、強い条件の下では:クンツ・クリーガー唯一性定理と呼ばれる力学系とC*環論をつなぐ定理やそれをもとに、C*環の代数的性質である単純性や純無限性が考察されている。また例として、クンツによるax+b半群に付随するC*環の拡張を考え、この一般論をもとにいくつかの例を具体的に考察した。本年度はいままで課していた強い条件を外す努力をした。この条件を外すことにより、ボスト・コンヌC*環といった重要な例を含む形で統一的に議論ができ、かつボスト・コンヌC*環の拡張をも考えることができるため、この努力は重要である。このことを実現するために本年度は、クンツ・クリーガー唯一性定理を示すための一部分として、ゲージ作用に対する固定部分環の研究を行った。それにより、もし半群が非負整数の場合にはこの部分環の帰納極限C*環として、埋め込みも含めた形で具体的に記述することに成功した。これは、ピムスナーによって得られていた結果を拡張するものになっている。一方で、二つ以上の非負整数の直和の場合には、半群の構造が起因して帰納極限の構造として違いが現れることが分かった。
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