2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランス条件不利地域における農業の多面的機能に関する地理学的研究
Project/Area Number |
10J00291
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
市川 康夫 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | フランス / 山間農村 / 条件不利地域 / EU共通農業政策 / 農業日記 / 出作り / 仲買人 / 漁村民宿 |
Research Abstract |
本年度は(1)EU発足以降のフランス山間地域におけるEU共通農業政策と農業経営の構造解明に関する研究,(2)中山間地域における広域的地域営農の形成過程とその存立形態に関する研究,(3)明治~大正期の山間農村の生活誌に関する研究,,(4)廻り船寄港地であった商業港平潟の漁村地域構造に関する研究について行った.(1)については,受け入れ大学であるリヨン第2大学を拠点に2010年6~8月,及び2011年1~3月にかけてフランスに渡航し,フランスの農業政策に関連する資料を収集し,山間地域の農家10戸に対して,農業経営とEU共通農業政策の関わりを中心に2~4時間の半構造化インタビューを行った.対象地域であるPays du Mezencの農家数は60ほどであり,2011年の調査と合わせて地域の半数の農家にあたる30戸のサンプルデータの収集を考えている.対象地域では標高の高さから耕種農業が困難であり,肉牛肥育及び酪農,チーズ生産が主たる生産活動となっている.その中で牛肉でのAOC(原産地呼称統制)取得や,GAECなどの大規模法人経営によって地域の農業生産活動が維持されている.(2)については,2008~2010年度に行った調査を基にデータをまとめ,経済地理学会2010年関東支部例会において発表し,学術誌地理学評論に投稿した.(3)については,2009~2010年に行った明治~大正期の文書とおよび聞き取り調査をもとに,山間農村の特徴的な農業形態である「出作り」を中心にその定住化過程を述べた論稿を「地域研究年報」に掲載した.(4)については,平潟港の特徴でもある仲買人や行商人に特に注目し,彼らを中心に聞き取り調査を行った.この調査は2011年度も継続して行い,学会誌に投稿予定である.
|