2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00385
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 誠 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ディレクティドポリマー / ランダム媒質 / 自由エネルギー / 分枝ランダムウォーク / 最左端粒子 / ランダム環境 |
Research Abstract |
平成22年度研究代表者は主に二つのことについて研究した。まずひとつはランダム媒質中のディレクティドポリマーの拡張したランダム媒質中の部分的ディレクティドポリマーについて関するものである。これはディレクティドポリマーでは環境が各時刻ごとに刷新されるのに対して、あるランダムな時間同じ環境の中を動き続けるものである。このモデルではポリマーの動きにより大きな相互作用が働きその解析はさらに複雑なものになる。一方で上に述べた理由からこのモデルはディレクティドポリマーよりも実際の物理現象に近いものになっているということが予想される。研究では特に自由エネルギーと呼ばれる物理の分野でも非常に重要な数値の解析を行った。ランダム媒質中のディレクティドポリマーでは自由エネルギーの計算にはエルゴディック劣加法定理を使えたが、部分的ディレクティドポリマーではこの定理を直接使うことはできなかった。そこでこのモデルから定理が適用できるモデルを構成し、そのモデルの自由エネルギーとの比較を行うことで自由エネルギーの存在の証明、およびその値を与えた。 ふたつ目はランダム環境中の一次元分枝ランダムウォークの最左端粒子の解析である。一次元分枝ランダムウォークの最左端粒子の解析はすでに様々な先行結果が存在するがランダム環境中に関してはほとんどない。特に粒子が死滅する可能性があるものについてはなかった。しかし研究代表者はある特定のモデルに関して粒子が死滅する可能性があるモデルについて最左端粒子の解析に成功した。このモデルでは最左端粒子は時刻nではnのオーダーよりも小さいオーダーで成長し、そのオーダーは多項式のオーダーであることがわかった。さらに振動することもわかった。多項式のオーダーは分枝ランダムウォークで現れたオーダーとは全く異なるものである。これらの結果よりこの研究に関する更なる発展が期待される。
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