2010 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的電磁流体シミュレーションによるマグネター巨大フレアの研究
Project/Area Number |
10J00493
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 仁 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 天文学 / 中性子星 / マグネター / フレア / 電磁流体力学 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、超強磁場中性子星であるマグネターで起きる巨大フレアの発生機構を基礎物理に対する理解を積み上げることで理論的に解像し、統合的にモデル化することである。フレア活動現象が天体内部の様々な物理プロセスの非線形相互作用の帰結として発展することは、過去の太陽・恒星フレアの観測的・理論的研究が示唆するところである。そのような強い非線形性を持つ磁気プラズマ活動現象の解明にはシミュレーション研究が有効な手段となる。そこで本研究の一年目では、マグネターフレアを本質的に理解するために、中性子星における磁気爆発にともなう物質の力学的進化を相対論的電磁流体シミュレーションを用いて調べる研究を行った。本研究の結果、中性子星表面での磁気的爆発に起因して準球対称なアフトフローが生じ、アウトフローの前面に強い衝撃波が形成されることがわかった。詳細に解析を行なった結果、アウトフロー速度は星周物質の密度構造に強く依存すること、さらに星周密度が急激に減少する場合に、自己相似的に発展する相対論的アウトフローが形成されることを発見した。アウトフローの駆動源は中性子星の磁気エネルギーである。しかし、その相対論的速度への加速は、星周物質の急激な密度勾配を衝撃波が伝搬するために生じており、純粋に流体力学的な効果である。加速の物理は、従来の定常理論では発見されていなかったプロセスであり、相対論的フローが形成される天体現象一般に応用可能な極めて基礎的で重要な成果である。
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