2010 Fiscal Year Annual Research Report
広帯域ディジタル干渉計を用いた冬季雷放電現象の解明
Project/Area Number |
10J00537
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秋田 学 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 雷放電 / 冬季雷 / 落雷 / 電磁波 / 到来方向推定 |
Research Abstract |
日本海側の冬季に発生する雷放電では夏季雷にはほとんど見られない上向き放電で開始する落雷や両極性落雷が報告されている。これらの放電では、雲内に存在する複数の電荷領域の電荷を中和することがある。そのため、冬季雷の中和電荷量は一般的に夏季雷より大きく、風力発電の風車のような建築物へ雷撃が大きな被害をもたらす一因となっている。冬季には対流圏界面が低く抑えられ、上昇気流も弱まるため、夏季とは異なる電荷構造を示すようになる。これが、夏季雷には見られない冬季雷特有の放電現象を引き起こす要因であると考えられる。雷雲の高さが低く、これにより雷放電発生位置も低いと考えられる冬季雷が観測対象であるため、広帯域ディジタル干渉計の低仰角における標定精度が問題となる。冬季雷観測に先立ち、夏季雷について対地放電の放電路を三次元的に可視化し、低仰角における大地に向かう放電路の標定が可能であることを明らかにした。また、広帯域干渉計を用いた広範な電荷構造推定法を提案した。冬季雷の観測対象については冬季に毎年落雷が発生し、落雷の際、落雷電流を測定するロゴスキーコイル(共同研究の岐阜大が設置)が設置されている石川県内灘町風車横の避雷鉄塔への落雷とし、周辺の電波環境の優れた場所の現地調査と観測候補地の選定を行った。数キロメートルの間隔で電界変化測定器、広帯域ディジタル干渉計をそれぞれ設置し、統合的冬季雷観測キャンペーンを実施した。その結果、初期連続電流が数百ミリ秒以上続く冬季特有の上向き放電で開始する落雷の放電路可視化に成功し、同現象で中和された電荷領域と電荷量を推定した。
|
Research Products
(6 results)