2010 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス蛋白質に注目したNSAIDsの多彩な薬理作用に関する研究
Project/Area Number |
10J00614
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
難波 卓司 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | NSAIDs / DNAチップ / アルツハイマー / 多彩な薬理作用 / CHOP |
Research Abstract |
(1)NSAIDsにより誘導される新規ストレス蛋白質を同定する 前述のように我々がヒト胃癌由来細胞を用いて行った、NSAIDs(インドメダシン)によりCOX非依存釣に誘導される遺伝子のDNAチップ(約4000のヒト遺伝子を含むDNAチップを使用)解析は、NSAIDsのCOX非依存的な作用機構の解明に大変有用であった。そこでヒトの全遺伝子を含むDNAチップを用いて、また種々のNSAIDs(インドメタシン、抗癌作用の強いセレコキシブ、抗アルツハイマー作用の強いイブプロフェン、アスピリン)を用いて、さらに種々の細胞(胃粘膜細胞、神経細胞、血管内皮細胞、癌細胞)を用いてより大規模にNSAIDsにより誘導される遺伝子の網羅的同定を行った。誘導が確認された遺伝子の中から、誘導が題著なものや、過去の文献等を参考に、NSAIDsの多彩な薬理作用(抗炎症作用、抗癌作用、抗アルツハイマー作用)に関与している可能性が高いものを選択した (2)NSAIDsによる各ストレス蛋白質誘導メカニズムを解明する 我々は、NSAIDsによるCHOP(アポトーシス誘導能を持つ転写因子)誘導機構を明らかにした。即ち、NSAIDsが細胞質膜を傷害し、細胞外から内へのカルシウム流入を促進し(カルシウム濃度は細胞内に比べ細胞外が高い)、細胞内カルシウム濃度を上昇させること、及びこのカルシウム濃度上昇が、NSAIDsによるCHOP誘導に必須であることを報告した。そこで、NSAIDsによる各ストレス蛋白質(HSP、小胞体シャペロン、HO-1、(1)で同定した新規ストレス蛋白質)の誘導も、NSAIDsによる細胞内カルシウム濃度上昇に依存しているかを調べた。その結果、小胞体シャペロンなど、複数の遺伝子の発現がカルシウムに依存していることを見いだした。
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