2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00849
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大川 新之介 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | Mori dream space / Cox ring / Geometric invariant theory / Okounkov body |
Research Abstract |
本年度の研究はMori dream space(以下MDS)と呼ばれる代数多様体のクラスに関するものが殆どであった。元々の動機は種数0の安定点つき曲線のmoduli spaceがMDSであるという予想(Hu-Keel)であった。この予想はこのmoduli spaceの幾何学的性質に関する最も重要な予想であり表題の研究とも関連する。しかる後に任意のMDSについて成立する幾何学的性質自体に興味が移り、その研究に移行した。 第一にMDSのglobal Okounkov body(以下GOB)が適当なflagに関して有理凸になるという予想(Lazarsfeld-Mustata)について考察した。GOBとは、代数多様体とその中の余次元1の部分多様体からなる列(flag)に対して定まる凸錐体であり、直線束の体積関数を幾何学的に精密化したものになっている。この予想は、MDSの体積関数がNeron-Severi群(の実数体への拡大)上、局所的に多項式になっているという事実の精密化である。成果として、この予想が曲面に対して正しいことを証明した。更に高次元の場合にも、MDSからなる部分多様体の列を持つようなMDSについて、それをflagとするようなGOBが有理凸錐体になるということを(技術的な仮定の下で)証明した。 第二に、MDSからの全射像として得られるような代数多様体について考察した。最初の成果として、そのような代数多様体が再びMDSになることを示した。次いで、任意のMDSに対してその有効錐に台を持つようなfanを自然に定義し、上の状況において像多様体のfanが定義域の多様体のfanから自然に決まることを示した。また、このfanはMDS上の直線束のZariski分解の情報を反映するとともに、MDSから定まるVariation of GIT quotients(VGIT)の情報をも反映しているということを示した。
|