2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00873
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長友 優典 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 全合成 / リアノジン / リアノドール |
Research Abstract |
Ca^<2+>イオンは、様々な生物応答を司る最も重要なセカンドメッセンジャーである。その濃度を制御する細胞内蛋白質(リアノジンレセプター,RyR)には3つのサブタイプが存在し、これらが骨格筋・心筋・平滑筋・脳小胞体に異なる割合で散在し、機能することで中枢神経系が統御されている。しかし、未だ個々の機能及び作用機序の詳細については明確になっていない。そこで、RyRのサブタイプ別の機能を生物有機化学的に解明するためには、RyRと選択的に結合するリアノジンが分子プローブとして有効であると考えた。しかし、リアノジンの天然物そのものは、極めて複雑な分子骨格であるため、直戴的化学修飾による分子プローブへの誘導が困難である。申請者は、C_2対称合成中間体への二官能基同時変換と非対称化反応を鍵反応とするリアノジンの全合成及び、分子プローブの短段階合成法の確立並びに、誘導体分子プローブの創製・活性評価を立案した。 申請者は初年度において2,5-ジメチルヒドロキノンから14工程(9度のこ官能基同時変換反応を含む)で合成したC_2対称合成中間体を四酸化オスミウム酸化によって非対称化し、反応性の高いα-オキソ-橋頭位ラジカル用いた炭素-炭素結合形成を鍵反応として、リアノジンの15位のヒドロキシ基及び3位ピロールエステルを除く全ての10連続不斉中心を有する15-デオキシ-リアノドールの合成を達成した。今年度は昨年度と同一のC_2対称合成中間体から15位に酸素官能基を有する化合物を合成し、昨年度確立したリアノジン骨格構築法を基盤としてリアノジンの3位ピロールエステルを除く全ての炭素骨格及び酸素官能基を有する重要合成中間体を合成した。本合成中間体は、4工程でのリアノドールへの変換および6工程でのリアノドールへの変換が期待できる。また本合成中間体は類縁天然物並びに、直戴的化学修飾による分子プローブへの誘導が可能な構造である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
確かに、当初研究実施計画に掲げたRyRと選択的に結合するリアノジン由来の分子プローブの創製・活性評価には到達できなかったが、二年間で同一のC_2対称合成中間体から活性評価研究に重要な2つ人工物(9-デメチル-10,15-デオキシ-リアノドールおよび15-デオキシ-リアノドール)並びにリアノジンの3位ピロールエステルを除く全ての炭素骨格及び酸素官能基を有する重要合成中間体を合成できたことは大きな成果だと考えている。
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[Presentation] リアノジンの全合成研究2012
Author(s)
長友優典、田渕俊樹、占部大介、井上将行
Organizer
日本化学会第92春季年会(2012)
Place of Presentation
慶應義塾大学日吉キャンパス(神奈川県)
Year and Date
2012-03-26
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