2010 Fiscal Year Annual Research Report
計算機ネットワークを介した多地点間位置・力伝達システムの研究
Project/Area Number |
10J01148
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅野 貴皓 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マスタ・スレーブシステム / 通信時間遅れ / 波変数 / 位置ドリフト / 計算機ネットワーク / 複数ユーザ / 力覚提示 / 遠隔操作 |
Research Abstract |
本研究では,インターネットなどの計算機ネットワークを介したマスタ・スレーブ方式のロボット遠隔操縦システムを確立するための制御則および実験システムの構築を行う.本年度は,まず通信の時間遅れに対して安定に動作する波変数に基づいた制御について,時間遅れの変動に起因する位置のドリフトを補償する積分誤差補償器の開発を行った.波変数に基づいた制御は任意長の時間遅れに対して安定であるが,波変数が速度と力の情報しか持っておらず積分計算の誤差によりマスタとスレーブの間に位置偏差が生じる.本研究では位置のフィードバック項を含むような積分誤差補償を実験システムに実装し,位置のドリフトが解消されることを実機において確認した.この成果によって,専用の通信回線を導入することなくテレオペレーションシステムを構築できるようになるため様々な分野にマスタ・スレーブを適用することが可能となる.さらに,本年度は複数の操縦者が共同でロボットを操縦できるマルチユーザ・テレオペレーションシステムの制御則の開発を行った.本システムは,熟練者と初心者が共同でロボットを操縦することで操縦トレーニングを行うなどの応用が期待されている.本研究では,複数の波変数に基づいたバイラテラル制御を結合する節点を導入することによって3地点以上にあるアーム同士の間で位置と力の情報のやり取りを行う手法を提案した.この節点を実現するための制御則を導出し,実際に2人の操縦者が共同で仮想環境を操作する実験システムを構築した.
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