2010 Fiscal Year Annual Research Report
溶融高分子の内部において分子鎖が形成するからみ合い構造のダイナミクス解析
Project/Area Number |
10J01270
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥田 覚 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 溶融高分子 / 固液界面 / 分子間相互作用 / レオロジー / 粗視化シミュレーション / PCNモデル / 壁面境界モデル / 界面相互作用 |
Research Abstract |
本研究では,固液界面近傍における高分子のレオロジー挙動を,からみ合い構造のダイナミクスから解明することを目的とする.特に,モノマースケールの相互作用をからみ合い構造スケールに粗視化し,分子間相互作用,および壁面一高分子間相互作用を数理モデル化することで,モノマースケールの相互作用がレオロジー挙動に影響を及ぼす機構の解明を目指してきた. これまでに開発したPCNモデルに基づく粗視化モデルは,分子鎖を理想化し,分子間相互作用に平均場近似を適用している.しかし,幅広い時間スケールの界面相互作用を有する固液界面のからみ合い構造は,壁面からの距離に依存して変化すると予想され,平均場近似を適用できない可能性がある。第二に,これまでに開発した壁面境界モデルは,壁面-高分子間の相互作用として剛体反射のみを仮定している.そのため,幅広い時間スケールを有する界面相互作用に適用することはできず,からみ合い構造スケールにおける数理的枠組みは未だ構築されていない. そこで、統計力学的手法でモノマースケールの相互作用をからみ合い構造スケールに粗視化し,分子間相互作用を数理モデル化を試みてきた.さらに,cMDおよび実験によって得られた最新の知見を基にして,構築したモデルの妥当性を検討してきた.また,分子間相互作用のパラメータを変えて,バルク条件のシミュレーションを行い,モノマースケールの分子間相互作用がレオロジー挙動に影響を及ぼす機構を検討してきた.現在、この内容について論文を執筆中である。
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