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2011 Fiscal Year Annual Research Report

熱帯ウナギの回遊生態に関する研究

Research Project

Project/Area Number 10J01346
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

茅野 尚子  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

Keywords熱帯ウナギ / 回遊生態 / 耳石 / Sr/Ca比
Research Abstract

本年度は,熱帯ウナギの回遊生態を明らかにするため,インドネシアのジャワ島およびスラウェシ島,ベトナム,マレーシアで熱帯ウナギ4種類に着目し,その回遊生態を明らかにした.また,熱帯ウナギの耳石Sr/Ca比と塩分濃度の関係が明確にするため,ベトナムで飼育実験を行った.
インドネシアで採集されたA. bicolor bicolorには,4つの回遊パタンが出現した.まず,一貫して海水域で生息していたもの.次に,一貫して汽水域で生息していたもの.そして,淡水域から海水域へと生息場を移動させたもの.さらに,淡水域と海水域を複数回往来していたものである.本種は,オオウナギに比べて多様な回遊パタンを持ち,より幅広い塩分環境に適応できると考えられた.また,熱帯ウナギの中で種ごとに回遊生態が異なっていることが示唆された.同様にベトナムで採集されたA. marmortaおよびA. bicolor pacifica,マレーシアで採集されたA. bicolor bicolorにおいても多様な回遊パタンが見られた.
これらの結果から熱帯ウナギは温帯ウナギと同様に,多様な回遊生態を有していることが明らかになった.熱帯域では,同所的に複数の本属魚類が生息しているため,種間競争が生息場の決定に影響している可能性が考えられた.本研究で初めて赤道熱帯域に生息する本属魚類の回遊生態が明らかとなった.
これまで、回遊生態を判別する際の指標には、温帯ウナギの値が用いられてきた。しかし、熱帯ウナギの回遊生態を研究する場合、温帯ウナギの指標を用いるのは適切でない事が考えられ、追加実験として熱帯域ベトナムでの飼育実験を行った。これにより、これまで明されていない熱帯ウナギの耳石Sr/Ca比と塩分濃度の関係が明確になった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2011年3月の震災により,これまで採集してきた標本をすべて失ってしまった.このことから,着手する予定であった耳石微量元素分析や年齢査定が不可能となった.再度標本を集め直すには,さらに時間と費用が必要である.

Strategy for Future Research Activity

本研究で,初めて赤道熱帯域に生息する本属魚類の回遊生態が明らかとなった.本属魚類の回遊特性の詳細解明のために,今後は分布域全体を網羅した回遊履歴解析や生態調査を行なう必要がある.また,回遊型の決定は何に起因しているのかを明らかにするため,生理学,遺伝学からのアプローチも必要である.

URL: 

Published: 2014-07-16  

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