2010 Fiscal Year Annual Research Report
気孔分化を支える組織間の情報伝達を介した新規経路の解明
Project/Area Number |
10J01389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅野 茂夫 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 気孔 / 分化 / 発生 / stomagen |
Research Abstract |
気孔は植物のガス交換を制御する器官であり,葉や茎に二次元的に分布している. 気孔はガス交換を制御することで,植物の乾燥状態や,CO2取り込み,果実の成熟などを制御しているため,「気孔の制御」が植物の生存に極めて重要である.気孔の制御において,気孔の開閉と共に重要なのは気孔の密度(すなわち単位面積あたりの数)の制御である.気孔密度は気孔の発生の過程で調節されている.気孔分化の分子的メカニズムの解明は,植物のガス交換を「設計」する育種につながる.また,気孔の二次元的な分布の制御機構が明らかになると,植物の発生が動物といかに異なるか,という発生生物学的に重要な知見を得ることができる. 気孔密度の制御機構を1.表皮組織2.葉肉組織の観点から分子生物学的に理解するために,下記の課題に取り組んだ. 1.表皮組織で気孔分化に働くペプチドの解析EPF1, EPF2, stomagen, CHALLAHはシステインリッチペプチドのEPFファミリーに属するペプチドであり,それぞれ表皮組織の気孔分化に影響を与えることが知られている.これらの因子の過剰発現株や発現抑制株の気孔分化の表現型を解析した.2.葉肉組織で発現するSTOMAGEN遺伝子の解析STOMAGEN遺伝子は葉肉組織で発現している遺伝子である.一方,EPF1, EPF2などの遺伝子は表皮組織に発現している遺伝子である.STOMAGEN遺伝子の発現調節様式とEPF1, EPF2などの遺伝子の発現様式の違いを解析した.具体的には転写因子SPEECHLESSの遺伝子の制御下にある否かを調べた.EPF1, EPF2はSPCHの制御下にあり,STOMAGENはSPEECHLESSの制御下にないことが分かった.
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