2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J01561
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
生駒 典久 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 変分法 / エネルギー汎関数 / 最小元 |
Research Abstract |
研究目的平成22年度は非線形光学の分野において現れる非線型Schrodinger方程式系に対して数学的な視点から研究を行った,具体的には非線形光学の分野において,計算機を用いて予測されていた解の存在や挙動を数学的に証明しようと試みた. 研究方法上で挙げた方程式系は3つの微分方程式を含んでおり,解を求めるとは3つの関数の組を求めることである.この方程式系は保存量を少なくとも3つは持つ(2つの関数のL^2ノルムとエネルギー汎関数).そこで,方程式系を解析する方法として変分法を用いた.具体的には,2つのL^2ノルムを一定にした空間上でエネルギー汎関数の臨界点,特に最小点の存在,非存在について研究を行った。もし,最小元(3つの関数の組)が存在すれば,その組は上記の方程式の解となることを示すことができる.また,もし最小元が存在したとしたら,最小元全体の集合はどのような特徴を持っているかということについても研究を行った. 研究成果得られた結果は以下の通りである.空間次元が1次元のときはどのようなL^2ノルムの量に対しても最小元は存在する.一方,空間次元が2次元や3次元のときは,L^2ノルムの量が小さいときには最小元が存在せず,ある程度大きくなると最小元が存在することを示した.したがって,最小元の存在という観点からみれば1次元と2,3次元の場合は大きく異なる。次に最小元全体の集合について述べる.ここで考えているのは複素数値関数を考えているが,最小元全体の集合は,正値関数を基に,それらを平行移動し,絶対値が1に等しい複数値を掛けたもの全体であるということを示した.したがって,最小元の基本となる関数は正値関数であるということを示した.
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