2010 Fiscal Year Annual Research Report
動作模倣による運動技能獲得メカニズムの解明:機能的MRIを用いた検討
Project/Area Number |
10J01564
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
佐々木 章宏 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 動作表象 / fMRI / 脳領域間結合解析 / 後部頭頂葉皮質 / 順モデル / 逆モデル |
Research Abstract |
動作模倣は他者の動作の視覚的な情報をもとに自己として同じ動作を産出する事である。動作模倣を実現するには,視覚的に与えられた他者動作の情報を自己の運動指令へと変換することが重要となる。これまで,多くの研究から他者動作の観察と自己動作の産出の両方に関わる脳領域があることが報告されており,このような神経基盤を通じて他者動作の視覚情報から運動指令への変換が行われると考えられている。しかし,動作の認知と産出の両方に関わる脳領域と運動系・感覚系の脳領域との関係性については明らかになっておらず,fMRIデータを用いた脳領域間結合解析により検討した。 これまでの行動実験や脳機能イメージングの知見から,自己の行動遂行と他者の行動観察を結びつける心理表象として動作表象の存在が示唆されている。動作表象とは動作がどのように考えられ,計画され,意図され,組織され,理解され,学習され,模倣されるか,そのされ方を指す。この動作表象は動作産出と動作観察の両方で生起することから,動作表象は運動指令を入力として運動結果を出力する順モデルと,運動結果を入力としてそれに対応する運動指令を出力する逆モデルの組み合わせで表現できると仮説をたて,実験を行なった。その結果,動作遂行と他者動作の観察に共通した活動は後部頭頂葉皮質(左側下頭頂小葉および左側頭頂間溝前方部)で見られた。さらに脳領域間結合解析の結果から後部頭頂葉皮質を介した感覚系から運動系への結合が動作遂行時により増強し(順モデル),感覚系から運動系への結合が動作観察により増強する(逆モデル)ことが示された。このことから動作表象は後部頭頂葉皮質を核とした感覚系と運動系との間の動的な関係性により表象されることが明らかとなった。
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