2011 Fiscal Year Annual Research Report
動作模倣による運動技能獲得メカニズムの解明 : 機能的MRIを用いた検討
Project/Area Number |
10J01564
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
佐々木 章宏 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 機能的MRI / 動作模倣 / 自他区別 / Extrastriate Body Area |
Research Abstract |
動作模倣の遂行に際しては,観察した他者動作を正しく自己の運動へと変換することが重要となる。これを実現するには(1)自己動作の産出過程で正しい運動計画を生成することと,(2)自己動作の結果と他者動作との一致性を認知することの2つのプロセスが重要となる。前者については「動作表象の脳内ネットワーク」に関する研究として昨年度に行なった実験データをまとめFrontiers in Human Neuroscience誌に論文を投稿したほか,国内外の学会で成果発表を行なった。今年度は,新たに後者の「自他動作の一致性の認知に関与するEBA領域の機能」について明らかにするためのfMRI実験を実施した。 「自他動作の一致性の認知に関与するEBA領域の機能」に関する研究では,動作の運動情報と視覚情報の一致性の検出に関するEBAの役割について検討した。EBAは身体パーツの視覚呈示に対して反応する機能的な視覚領野として報告されていたが,近年の研究から視覚フィードバックがない状況においては身体の運動時にも反応することが明らかとなっている。先行研究では,他者の動作を模倣する,または模倣される課題を行なっている際に自己と他者の動作が一致するとEBAの活動が大きくなることが示されている。一方で,自身の動作の運動情報と視覚情報のマッチングにおいては視覚運動情報が異なるときにEBAの活動が大きくなることが示されている。本研究では,動作の運動情報と視覚情報の比較が自己と他者の運動の場合でEBA内の異なる部位が使い分けられているのではないかと考え,機能的MRIを用いた実験を行なった。本研究に関しては現在のデータ解析中であり,早急に解析結果をまとめて論文投稿,学会発表に向けた準備を進める。
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