2010 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙X線の精密分光を実現するTESカロリメータの開発と電荷交換反応への地上応用
Project/Area Number |
10J01582
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
赤松 弘規 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | X線精密分光 / マクロカロリメータ / 電荷交換反応 |
Research Abstract |
TES(Transition Edge Sensor)型X線マイクロカロリメータ(以下、TESカロリメータ)は、極低温(-50mK)で動作し、X線吸収によって生じた温度変化を計測し、分光を行う、全く新しいタイプの非分散型X線検出器である。温度変化を超伝導遷移端温度計(TBS)で読み出す事により、従来の半導体検出器に比べ1桁以上優れた分光性能(原理的に1 eV以下、E/△E>3000)を実現する。 本研究期間では、TESカロリメータの地上応用の為に必須な可動式極低温冷凍機の開発を行った。今回、我々が開発した二段式断熱消磁冷凍機(ADR)は、多段式ADRの技術実証機で、従来の一段式と異なり、常磁性体を2つ直列につなぐことで、軽量コンパクトでありながら、液体ヘリウム温度(4.2K)から、比較的低磁場で、効率よくカロリメータの動作温度(-50mK)まで冷却することができる。本研究期間において、高温側ステージにGGG(Gd-Ga Garnet,-0.8K)、低温ステージにCPA(Cr Potasium Alum,-0.1K)を使用し、冷却試験の結果、二段断熱消磁サイクルにより50mKの極低温環境を実現することに成功した。TESカロリメータの読み出しに必要な超伝導量子干渉計(SQUID)を、2段式ADR内に導入し、配線の整備を行い、雑音環境の評価を行った。現在、これまで最も良い実験室での雑音レベルの2倍程度まで雑音を押さえることに成功しており、10eV程度のエネルギー分解能が期待される。以上に平行して、首都大学原子物理研究室と共同で電荷交換反応の半導体検出器による予備実験を行っている。 以上の結果を、国際学会において口頭、ポスター合わせて3回報告した
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