2012 Fiscal Year Annual Research Report
電位センサータンパク質の作用機序に対する物理化学的手法を用いた解析
Project/Area Number |
10J01585
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川鍋 陽 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 電位センサータンパク質 / 電位依存性プロトンチャネル / VSOP / パッチクランプ / リポソーム / インサイドアウト / 赤外分光 |
Research Abstract |
本研究では、電位センサータンパク質であるVSOP(電位依存性プロトンチャネル)の電位感知メカニズムをはじめとする基本的な性質を、電気生理学的な手法(主にパッチクランプ法)と物理化学的手法(主に赤外分光法)を組み合わせて明らかにすることが目標である。本年度の研究成果の概要を以下に記述する。前年度までに活性のあるマウス由来VSOPを発現する系を確立した。本年度は計測のさらなる改善と薬理効果を検討するための培養細胞系を用いた評価を行っている。 1.全反射赤外分光法にて基質結合やpH変化に伴う構造変化の解析を行ったが、精度のよいスペクトルを得ることができなかった。前年度に引き続き、タンパク質と脂質の比率を見直すなど条件検討をし直している。 2.プロテオリポソームに対してパッチクランプ法を適用する電気生理学的な解析を前年度に引き続き試みている。VSOPはそのコンダクタンスが数百fS程度と極めて小さいと示唆されており、これは、一般的なK^+,Na^+などを通すイオンチャネルの1/1000のレベルである。そこで、可能な限りノイズが入らない環境で新たに測定装置を組み上げ、現在予備実験の段階であるが、VSOP由来とみられる電流を計測することに成功した。今後さらに解析していくために、亜鉛イオンや下記の不飽和脂肪酸への応答性などの薬理効果を見ていく予定である。 3.電位依存性プロトンチャネルはその分子実体が判明する前から不飽和脂肪酸(主にアラキドン酸)により電流が増大することが知られていた。しかし、それらはネイティブの細胞の結果であり、メカニズムの詳細などに迫る強制発現系での実験はこれまでになかった。培養細胞を用いたインサイドアウトパッチクランプ法で測定したところ、不飽和脂肪酸の効果で電流が増大することがわかった。これは不飽和脂肪酸が直接作用することを示唆しており今後、部位の特定やメカニズムに迫っていきたい。
|
Research Products
(6 results)
-
[Journal Article] Comparative FTIR study of a new fungal rhodopsin2012
Author(s)
Ito, H., Sumii, M., Kawanabe, A., Fan, Y., Furutani, Y., Brown, L. S., Kandori, H.
-
Journal Title
J. Phys. Chem. B
Volume: 116
Pages: 11881-11889
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Anomalous pH Effect of Blue Proteorhodopsin2012
Author(s)
Yamada, K., Kawanabe, A., Yoshizawa, S., Inoue, K., Kogure, K., Kandori, H.
-
Journal Title
J. Phys. Chem. Let.
Volume: 3
Pages: 800-804
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-