2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J01661
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 豪 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中性子 / 重力 / 量子力学 / 検出器 |
Research Abstract |
本年度は主に、次年度におけるフランスでの本実験に用いる実験装置を準備・作製した。これらの装置は、重力に束縛された超冷中性子の量子状態の分布をサブミクロンオーダーで観測するために本質的に重要である。得られる測定精度を高めるため、量子状態の分布を拡大する拡大円筒の直径と倍率を、速度のばらつきや重力による軌道のずれに対して最適化して設計した。分布を拡大し表面で反射する際に、量子状態の分布を崩さないように、ガラス円筒の表面を超冷中性子の波長以上に精密に研磨した。研磨したガラス円筒の表面に中性子に対して高いポテンシャルを持つニッケルを蒸着し、より多くの超冷中性子を反射し、測定器で検出することが出来るようにした。実験で得られる統計量を増やすため、大面積のCCDを購入し、受光面に中性子コンバータであるボロンを蒸着して中性子ピクセル検出器を作製した。蒸着したボロンの膜厚は、超冷中性子の検出効率と位置分解能に対して最適化されている。また、測定中に振動を与えないようにするため実験装置は超冷中性子源から独立に設置する必要があり、中性子が空気中を通過しなければならない。通過経路にヘリウムを充填し、超冷中性子の空気中での減衰を抑えるために導入するヘリウムバッグを設計・作製した。これらのコンポーネントを用いることで、得られる統計を飛躍的に向上させ、次年度秋からの本実験では、先行する実験の位置分解能を上回る測定を目指す。
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