2011 Fiscal Year Annual Research Report
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10J01661
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 豪 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中性子 / 重力 / 量子力学 / 検出器 |
Research Abstract |
今年度は、まず、前年度に作成した従来の倍の有感面積を持つ超冷中性子用ピクセル検出器の性能を、本年度の5月にフランスのラウエ-ランジュバン研究所の極冷中性子ビームラインを用いて試験した。位置分解能が3.3ミクロンと求まり、本実験に十分な検出効率と位置分解能を有していることが確認出来た。 そして、8月から2ヶ月間のビームタイムにわたり、ラウエ-ランジュバン研究所の超冷中性子ビームラインで物理測定を行った。 本実験では、拡大円筒の直径と反射角度を見直し反射する中性子量を増やし、超冷中性子を散乱してしまう空気層をヘリウムで置換することで損失を減らし、ピクセル検出器の有感面積を2倍にしたことで、2年前に行った予備実験の10倍以上のイベントレートを確保することが出来た。実験では、拡大円筒の表面の粗さ、あるいは蒸着した金属層の影響で拡大後の像が乱される可能性も考慮して、ニッケルを蒸着していないガラス円筒2本とニッケルを蒸着したガラス円筒1本の、計3種の測定を行った。これらの測定は、それぞれ予備実験の10倍の統計を得た。また、拡大機構が実際に機能しているかを確認するために、拡大円筒を使わずに、ガラスガイドを通ってきた中性子分布を直接測定する実験も行った。実験後、拡大円筒の表面状態を測定し、実験データを解析することで拡大円筒を使用したデータと使用しないデータを用いて、設計通りに拡大が行われていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度、8月から2ヶ月間にわたって、フランスのラウエ-ランジュバン研究所で実験を行うことが出来た。これまでの装置のアップグレードによって、2年前に行ったテスト実験と比較して、10倍の統計を得ることが出来た。また、拡大機構をチェックするために、3種類の拡大円筒に対して測定し、拡大しないで直接分布を観測する測定も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に行った物理測定を元に、解析を行う。まず、古典力学で中性子分布の説明を試みて、次に、その条件から量子力学の効果を取り入れた計算を行う。その後、未知短距離力を考慮した解析を行い、新物理に対する探索を行う。ガラスガイドの床、および天井の表面状態が分布に影響するため、表面測定をして、必要な場合はシミュレーションに取り入れる。
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