2010 Fiscal Year Annual Research Report
超音波刺激を利用した標的細胞選択的遺伝子導入技術による革新的治療システムの開発
Project/Area Number |
10J01875
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
運 敬太 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遺伝子導入 / 超音波応答性マンノース修飾リポソーム/核酸複合体 / 超音波照射 / 癌転移・再発予防 / DNAワクチン / メラノーマ |
Research Abstract |
癌抗原により付与される癌特異免疫を利用した癌免疫療法は、標的癌細胞特異的な抗腫瘍効果が得られると共に、治療に伴う毒性が低いという特徴を有することから、癌患者の転移・再発予防法として期待されている。特に癌特異抗原発現遺伝子を利用するDNAワクチンは、液性免疫、並びに細胞性免疫を付与できると共に、強い殺細胞活性を示す標的癌細胞特異的な細胞傷害性T細胞(CTLs)を効率的に誘導可能である。しかしながら、癌に対するDNAワクチンにより優れた治療効果を得るためには、癌特異免疫誘導において重要な役割を果たすマクロファージや樹状細胞等の抗原提示細胞に対して選択的かつ高効率に癌抗原発現遺伝子を導入することが不可欠である。私がこれまでに開発した超音波応答性マンノース修飾リポソーム/核酸複合体(Man-PEG_<2000> bubble lipoplex)と超音波照射を利用した遺伝子導入では、癌免疫療法の標的細胞である脾臓の樹状細胞において選択的かつ高い遺伝子発現が得られるため、本方法を癌に対するDNAワクチンのための遺伝子導入法として応用することで優れた治療効果が期待できると考えられる。そこで本年度においては、Man-PEG_<2000> bubble lipoplexと超音波照射を用いた遺伝子導入法による樹状細胞選択的な遺伝子導入特性を利用し、オブアルブミン(OVA)並びにメラノーマ関連抗原(gp100及びTRP-2)を発現するpDNAにより構築したMan-PEG_<2000> bubble lipoplexと超音波照射に基づくDNAワクチン効果の評価を行った。Man-PEG_<2000> bubble lipoplexと超音波照射によるDNAワクチンによって、樹状細胞のMHCクラスI分子上に癌特異抗原ペプチドが効率的に抗原提示され、それに伴いTh1型免疫誘導の活性化並びにCTLsの誘導が標的癌細胞刺激特異的に認められた。さらに標的癌細胞特異的かつ長期的なワクチン効果が固形腫瘍、並びに転移性腫瘍に対して認められ、Man-PEG_<2000> bubble lipoplexと超音波照射を利用したDNAワクチンは、有効な癌転移・再発予防法となり得る可能性が示された。
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Research Products
(1 results)