2011 Fiscal Year Annual Research Report
中央ユーラシアにおける文化的多様性の形成に関する考古学的研究―青銅器時代を中心に
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10J01904
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 圭太 九州大学, 人文科学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カラスク文化 / 初期遊牧民文化 / ミヌシンスク / 長城地帯 / モンゴリア / 青銅器様式 / 青銅刀子 / 製作技法 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画において、本報告者は「前2千年紀後半のアルタイ以東における青銅器文化の成立過程とその背景」の解明を目指した。解明にあたっては、以下の調査研究を必要とした。 A)研究遂行上必要な遺構のデータの集成:実地調査、文献調査 B)分析:青銅器の分類を行い、それに基づく文化圏を抽出する(9ヶ月程度)。文化圏の内容に関する仮説を提示する。 C)同時に、得た研究結果を日本の主要学術雑誌に投稿、国際会議にて口頭発表を行う。 本年度(2年目)は概ね以上の計画を実行できたと考える。 A)については、1年目に未調査の資料の見学を行い、中国山西省博物館、モンゴル国科学アカデミー、国立博物館等にて青銅器の観察を行った。特にモンゴル国の調査では、科学アカデミー考古学研究所にて青銅器および金属生産関係資料の実測、写真撮影を許可され、研究員諸氏から有益な助言を得ることが出来た。 B)については、これまで集成したデータを基に、青銅器文化の変化に関する現象の把握およびその考察を行った。具体的には、前2千年後半から前1千年紀初頭までの南シベリアからモンゴリアの青銅器について、製作技法を含めた動態を把握した。結果、従来「初期遊牧民(スキタイ系)文化」として、地域相互間の関係が顕著になる画期と評価されてきた時期以前に、モンゴリアにおいてきわめて大きな青銅器文化の画期が存在することを明らかにした。 C)以上の一部の成果については本年度(2年目)の学会で口頭発表を行っており、博士論文の主要部分となることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
項目9.に記すように、当初の計画が概ね実行できており、成果を学会等により発表できている点による。また、海外における資料の実見も本研究費および各機関の協力により可能となり、データも順調に蓄積できている点も挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は順調に進んでおり、来年度は今年度までに得られたデータをもとに、文化圏の内容に関するモデルを構築することになる。特に青銅器出土のコンテクストを中心に検討し、モデルの検証を行なうことが課題である、また、国内外の青銅器時代の研究を参考にしつつ、関連する研究における本研究のモデルの位置づけを明確にする。さらに、以上の研究成果をまとめ博士論文を執筆、完成させることにより、課題は本年度内には達成できるものと考えられる。
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Research Products
(4 results)