2010 Fiscal Year Annual Research Report
電解酸化法とメタン発酵によるハイブリッド型畜産廃水浄化プロセスの確立
Project/Area Number |
10J02039
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 弦 神戸大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 廃棄乳 / 電解酸化法 / メタン発酵 / 畜産廃水 / 乳脂肪 / 高級脂肪酸 |
Research Abstract |
畜産廃水、特に廃棄乳に含有する乳脂肪を構成する高級脂肪酸は、メタン発酵における菌類の活性を阻害することが報告されている。本研究では畜産廃水に対して電解酸化法による前処理を適用し、高級脂肪酸などの難分解性物質の転換や有機物負荷の低減を行う。本年度は前処理部分の電解酸化法による廃水中の有機成分の分解特性、および前処理が後のメタン発酵に与える影響について解明するために、以下の項目を実施した。 1,電解酸化法による廃棄乳の分解特性 陽極材料として活性電極DSAまたは不活性霞極Ti/PbO_2を用いて廃棄乳に対して電解酸化法を適用したところ、いずれの電極においても乳脂肪の分解が示唆された。特にTi/PbO2は乳脂肪以外のラクトースなどの有機成分に対しても高い分解効率を示した。これはDSAと比較してTi/PbO_2電極から生成される酸化剤の酸化力が高いことに起因すると考えられる。また乳脂肪を構成する主要な高級脂肪酸であるオレイン酸に対して、DSAを用いて電解酸化処理を行った場合、高い分解効率が観察された。 2,電解酸化法とメタン発酵によるハイブリッド処理 電解酸化法による前処理が廃棄乳のメタン発酵に与える影響について検討を行った。種汚泥(消化液)と投入基質(廃棄乳)の容量比が20:1の場合、陽極にDSAを用いた2時間の電解酸化前処理を廃棄乳に対して行うことにより、メタン発酵における有機物の分解率が向上した。しかしながら電解酸化法により投入基質のCODが低減されたため、バイオガス生成量は低下した。陽極にTi/PbO_2を用いた場合、電解酸化法により大量のVFAが生成され、発酵阻害が観察された。また前処理の有無に関わらず、投入有機物負荷を種汚泥と投入基質の容量比10:1以上に増加させると発酵阻害が観察された。副材料として乳牛糞尿を用いることにより、投入有機物負荷の増加が可能であった。
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