2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨組織学を用いた中生代-新生代四足動物の成長戦略の解明
Project/Area Number |
10J02077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 保寿 東京大学, 総合研究博物館, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 進化 / 四足動物 / 骨組織学 / 水棲適応 |
Research Abstract |
報告者は,中生代-新生代四足動物の骨形成の進化の解明に関連して,様々な環境に適応した現生および化石四足動物の肢骨内部構造の観察を行っている.2010年度は特に,生息環境が極端に異なる動物間の骨形成様式の差異を明らかにするために,水棲四足動物と陸棲四足動物を対比して比較を行うことに焦点を当てた.研究手法としては,マイクロフォーカスCTスキャン(国立科学博物館,東京大学総合研究博物館,Universitat Bonn)を用いた骨内部構造の撮像,3Dレンダリングソフトを用いた3次元骨内部構造の構築および観察,骨組織切片の薄片検鏡による微細構造の観察を用いている. 哺乳類の骨内部構造の進化に関する研究:水棲適応者とされているが骨内部構造の情報が欠如している束柱類の骨内部構造の観察を行った.その結果,比較的原始的な束柱類に関しては現生のマナティーに似た骨内部構造の緻密化が起こっているのに対し,派生的な束柱類Desmostylusに関しては,現生の高度な水棲適応者に見られる長骨内部の海綿質化が起こっていることが示された.これらの内容に関しては,SVPCAおよび日本古生物学会第160回例会において発表を行った. 爬虫類の骨内部構造の進化に関する研究:30種余りの現生・化石水棲爬虫類の肢骨について内部構造の比較観察を行った結果,(1)カメ類の中でも深海への潜水を行うオサガメだけが極端な骨海綿質化を起こしていること,(2)その他の水棲・半水棲爬虫類および・陸棲カメ類については一般的に髄腔が発達しにくく,再吸収の割合が非常に小さいことが明らかになった.この内容は2010年9月SVPCAおよび日本古生物学会第160回例会で発表した.
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Research Products
(7 results)