2010 Fiscal Year Annual Research Report
両連続相マイクロエマルションベースの高速・温度応答型インテリジェントゲルの創製
Project/Area Number |
10J02141
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川野 真太郎 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 両連続相マイクロエマルション / 多孔質ゲル / 熱応答性ポリマー |
Research Abstract |
ソフトかつウェットなゲルの利用は内部に化学的な物質組成を包含可能であり、高い柔軟性、外部の環境に対して容易に物理的特性を変化可能である。本研究では、インテリジェント(スマート)マテリアルを指向した,外部刺激(温度)応答型の新規多孔ゲルの作製および、高速応答型のゲル膨潤/収縮挙動の評価を行うことを目的とした。水相にNaClaq,油相にトルエンを用いた3相系両連続相マイクロエマルション(BME)の溶液構造をテンプレートとして、水相側に加えた水溶性モノマー,N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)のレドックス系室温重合を行うことで、ミクロ水相をゲル骨格に、ミクロ油相部分を空隙とした多孔ゲルの作製を行った。乾燥後のゲルの内部構造を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、5-10μmの孔を有するPNIPAM-BME両連続多孔ゲルが生成していることを確認した。あらかじめ、室温でゲル化させたPNIPAM-BMEゲルをそれぞれ、45および60℃に調整した水浴に浸潤させたところ、高温度で処理したものほど、ゲル内の多孔サイズが縮小した。PNIPAMの下限臨界溶液温度(LCST)、32℃以上の温度変化において、PNIPAMの相分離速度を制御することで、ゲルの多孔サイズを制御することに成功した。PNIPAM-BMEおよび比較としてBMEを用いて同条件で作製したPNIPAM均質ゲルを用いて、水中に浸透させた膨潤ゲルに対して加熱および冷却を繰り返し行い、サイクルにおける膨潤および収縮挙動の膨潤率および膨潤度の確認とおよび再現性を調査した。高温で膨潤させたゲルに対して室温冷却させた場合、BMEゲルで60%の膨潤度(1時間あたり)、均質ゲルの20%に対して高速応答性を示した。このことから、BMEゲルでは急速に、大量の溶媒を吸収・放出が可能であることを明らかにした。
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