2011 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性金属錯体を用いた応答性錯体インターフェイスの構築
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10J02257
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平井 健二 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多孔性配位高分子 / 結晶表面 / 複合機能 |
Research Abstract |
昨年度は、以下の2項目の研究を重点的に行った。 1.多重機能型PCP(Porous Coordination Polymer)の開発 高い貯蔵能を有するPCPを分子選択性を有するPCPで被覆することによって、コアシェル型ハイブリッドPCPの合成を行った。得られたハイブリッドPCPは選択的に直鎖アルカン分子のみを大量に貯蔵可能であることが明らかになった。直鎖アルカンの貯蔵量は単体のPCPを大きく上回り、結晶を複合化することによって、選択性と高い貯蔵能をハイブリッド結晶内に統合できることが明らかになった。本研究はAngewandte Chemieに採録された(Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 8057-8061)。 2.PCP薄膜化および電子デバイスへの搭載 PCP結晶をセンサー素子であるQCM(Quartz Crystal Microbalance)に搭載することでガスセンサーの開発に成功した。QCMは重量増加を検出するセンサー素子であり、電極の重量が増加することを周波数変化として検出する。このQCM電極表面にPCP結晶を固定した。PCPは有機溶媒を吸着し、重量増加を示すため、PCPで電極表面を被覆することによってガスセンサーとして機能することが明らかになった。本研究はJ. Am. Chem. Socに採録された(J. Am. Chem, Soc., 2011, 133, 11932-11935)。 また、酸化還元活性なPCPの合成に成功し、電極表面で薄膜化することによって、イオン貯蔵材としての可能性を示した。フェロセンジカルボン酸を骨格中に組み込んだPCPを電極表面上で薄膜化し、電気化学測定を行った。PCPのフェロセン部位が酸化還元反応をすることによって、カウンターイオンを細孔中に取り込むことが明らかになった。これはPCPのイオン貯蔵能を示唆する結果である。本研究はDalton Transactionに採録された(Dalton Trans., 2012, 41, 3924-3927)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は精力的に実験を行い、得られた結果を様々な学会で発表を行った。1年目に引き続きAngewandte Chemie International EditionとDalton Transactlonへ2報の論文の報告をした。1年目の成果をさらに発展させ、基板上で薄膜化した多孔性配位高分子の電気化学特性の評価まで研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに複合型多孔性配位高分子を基板上で薄膜すること、および、薄膜の電気化学的な評価に成功している。本年度は、複合薄膜を電極表面で薄膜化し、デバイスとしての可能性を探索する。
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Research Products
(6 results)