2011 Fiscal Year Annual Research Report
造礁性サンゴ骨格の窒素同位体比変動要因の解明および古環境復元指標への応用
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10J02320
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 敦子 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 造礁性サンゴ骨格 / 窒素同位体比 / 硝酸 / 古環境復元 / 貧栄養海域 |
Research Abstract |
造礁性サンゴ骨格に含まれる有機物の窒素同位体比は、周囲の栄養塩濃度および栄養塩の供給源の変化と共に変動し、貧栄養海域における栄養塩循環の解明及びその歴史的変化の復元の有用なツールとなりうる。本研究ではサンゴ骨格の窒素同位体比を新たな古環境復元指標として確立し、これまで復元できなかった過去の栄養塩情報(濃度、起源、供給過程)を復元することを目的としている。平成22年度にサンゴ骨格の窒素同位体比が海水中の硝酸の窒素同位体比を反映することを明らかにした。平成23年度はサンゴ骨格の窒素同位体比測定手法の確立と窒素同位体比の古環境復元指標への応用に向けて、研究を行った。 測定手法の確立と窒素同位体比指標の評価 本年度では測定手法の改良のため、サンゴ骨格の洗浄実験と段階加熱によるサンゴ骨格の測定を行った。サンゴ骨格の窒素同位体比を古環境指標とするためには骨格中の有機物が長期間保存されており、その窒素同位体比を測定する必要がある。そのため、まずはじめにサンゴ骨格粉末の洗浄実験を行い、骨格中に完全に保存されている有機物のみを分析する手法を確立した。この実験を検証するため、アラゴナイト骨格が崩壊する800℃までサンゴ骨格粉末を加熱し、骨格結晶中に保存されている窒素の同位体比を測定した。その結果、洗浄済み試料の窒素同位体比は一致した。 サンゴ骨格の窒素同位体比による古環境復元 次に、実際にサンゴ骨格の窒素同位体比を古環境復元指標として、サンゴ長尺コアの分析を行った。一つ目は石垣島轟川河口のサンゴ骨格を用いて、約50年間の沿岸の土地利用と比較し、サンゴ礁内に流れ込む硝酸の起源を復元した。二つ目は高知県竜串湾のサンゴ骨格を用いて約150年間の窒素同位体比変動と黒潮流量との関係を比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、平成23年度にサンゴ骨格の窒素同位体比測定手法を確立し、古環境復元へ応用するため、長尺サンゴコアの分析を開始するとしていた。本年度は当初の計画通り、石垣島と高知の2カ所のサンゴ骨格コアの分析がすでに終了しており、当初の計画どおり進んでいる。また、初年度の研究成果を国際誌で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は平成22年度に掘削したインドネシアのサンゴ骨格コアを分析する予定である。また、平成23年度に測定した結果を国際誌に投稿する。
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Research Products
(10 results)