2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J02364
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 正寿 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 写像類群 / 群コホモロジー / Torelli群 |
Research Abstract |
本年度は主に、写像類群の部分群であるTorelli群の低次(コ)ホモロジー群について研究を行った。 Torelli群は写像類群の正規部分群であり、整ホモロジー3球面の有限型不変量がこの群上の関数として現れるなど、低次元トポロジーにとっても基本的な対象である。Torelli群の1次(コ)ホモロジー群は決定されているが、2次以上の(コ)ホモロジー群は、有限階数をもつかどうかすらわかっていない。なお、特にTorelli群が有限表示可能であれば、2次コホモロジー群が有限生成であることが知られている。 自身と河澄響矢東京大学准教授との共同研究において、Torelli群の2次コホモロジー群が有限次元有理シンプレクティック表現であれば、写像類群の3次コホモロジー類である(2,1)-ねじれ森田-Mumford類のTorelli群への制限が非自明であることが示されていたが、この類について以下で述べる3通りのアプローチを行った。 1つ目に、A.Putmanにより得られたTorelli群の無限表示を用いて、この群の3次のサイクルを構成することを試みた。2つ目に、曲面の基本群に定まる、C. D. Papakyriakopoulosの交叉形式を用いて得られるこの群の2-コサイクルについて、その代表するコホモロジー類を調べた。しかし、以上の研究においてアーベリアンサイクルを除く非自明なホモロジー類、コホモロジー類は得られなかった。3つ目に、コホモロジー群の構造を調べることが可能である、Mess群などのいくつかのTorelli群の部分群において、(2,1)-ねじれ森田-Mumford類を調べた。その結果、これらの部分群においては自明であることがわかった。しかし、未だTorelli群の(2,1)-ねじれ森田-Mumford類が非自明であるかどうかは不明であり、より大きな部分群において、この類を評価する必要がある。
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