2010 Fiscal Year Annual Research Report
空間計量経済手法を用いた都市・環境政策の経済分析に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
10J02513
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星野 匡郎 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 空間計量経済学 / セミパラメトリックモデル / 二肢選択モデル |
Research Abstract |
空間計量経済学やセミパラメトリック手法を含む計量経済学手法を用いて、地域や個人における相互関係や多様性を考慮した新たな統計分析手法および計算アルゴリズムの研究・開発を行った。特に、これまでの空間計量経済学に関する研究は、主に空間的自己相関のモデル化やその推定方法に関するもので、空間的多様性のモデル化に関する理論的研究は進んでおらず、また、空間的自己相関と空間的多様性を同時に考慮したモデルの研究は未だ行われていない。そこで、空間計量経済学で通常「空間ラグモデル」と呼ばれるモデルを「可変係数モデル」に拡張した新たなモデルを開発し、その推定方法と漸近的性質を理論的に分析した。可変係数モデルとはある変数によって係数値がノンパラメトリックに異なることを許容する、セミパラメトリックモデルの一つである。また、実証研究としては、可変係数モデルと東京都の土地取引データ用いて都市公園整備の経済評価を行った。その結果、都市公園に関する居住者の多様な選好の存在を確認した。さらに可変係数モデルの二肢選択プロビットモデルへ拡張する研究にも取り組んだ。特に推定方法として繰返し最小二乗推定法を適用することで、尤度関数に関する数値的最適化問題が回避され、安定的な推定が実施できることを示した。また、実証研究として兵庫県六甲山地の防砂ダムの修景に関する仮想評価分析を実施したところ、回答者の選好が環境意識の高さに応じて複雑に変化することが明らかになった。
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