2010 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性材料の結晶構造及び界面原子配列制御による反強磁性/強磁性交換結合制御の実現
Project/Area Number |
10J02602
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 宏和 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁性薄膜 / 交換磁気異方性 / Fe-Co-Ni / ブロッキング温度 / 強磁性組成存性 / 面心立方格子 / 体心立方格子 |
Research Abstract |
ハードディスク装置(HDD)の読み取りヘッドのサイズは,その高記録密度化に伴い年々減少しており,微細化を原因とする反強磁性(AFM)/強磁性(FM)交換結合の劣化が問題となっている.従って,AFM/FM交換結合の大きさを表す一方向磁気異方性定数(J_k)が大きい材料系の開発ならびにJ_kの熱耐性の改善が求められている.本研究では上記の要件を満たす高性能交換結合膜の設計指針の確立を目的として,J_kならびにJ_kの温度特性のFM材料依存性を調査した.1.J_kのFM材料依存性評価を目的として,AFM層をMn-Ir(10nm)に固定し,FM層材料をFe-Co-Ni 3元合金で系統的に変化させてJ_kの測定を行った.J_kはFM材料の結晶構造に大きく依存し,面心立方格子(fcc)よりも体心立方格子(bcc)FM材料を用いた場合に大きなJ_kが得られた.2.J_kの温度特性のFM材料依存性評価を目的として,Mn-Ir/Fe-Co,Co-Ni,Ni-Fe積層膜の種々のFM組成においてMn-Irの膜厚(d_<AF>)を変化させ,J_kの温度特性のFM組成依存性並びにd_<AF>依存性を測定した.その結果,FM組成によってJ_kの温度特性が変化することを明らかとした.FM組成によるJ_kの温度特性変化はd_<AF><5nmの極薄領域において顕著であった.結晶構造依存性に関しては,fcc-FMではFM組成による温度特性変化は小さく,bcc-FMではJ_kが大きい組成において熱耐性が悪くなった(J_kが消失する臨界温度T_Bが低くなった).以上の実験から,巨大J_kの誘導にはbcc-FMが有用であること,J_kとその温度耐性は二者択一の関係にあることがわかった.
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Research Products
(4 results)