2010 Fiscal Year Annual Research Report
感潮域における持続可能な環境保全手法の確立に向けた地形変動予測モデルの開発
Project/Area Number |
10J02689
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩崎 理樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タイダルクリーク / 水路網 / 平面二次元モデル / 移動床実験 / 混合砂 / 潮汐流 |
Research Abstract |
1)申請者により開発済みの平面二次元地形変動モデルに河川河床変動計算に用いられる多層型混合粒径モデルを導入することで,感潮域の水路網発達過程とそれに伴う底質材料の分級現象を再現可能な数値モデルを構築した.これを単純化された条件に適用し,底質材料が水路網形状に与える影響について考察を行った.混合砂地盤では,水路網の形成に伴い掃流力が増大する水路内部では底質材料が粗粒化する一方,水路内部から巻き上げられた細粒分は非水路地帯に堆積する.これは現地で観測される粒径分布と同様な傾向を示している.また水路内部の底質粒径が粗流化することに伴い水路底面の侵食が抑えられる一方,均一砂地盤と比較して流路の拡幅は大きくなる. 2)数値計算モデルの妥当性の検証及び潮汐流による水路網形成・発達過程を把握する目的で,小型水槽において移動床実験を行った.北海道野付半島の水理・地形条件を力学的相似則及び砂粒子移動に関する相似則を満たすように実験水槽にスケールダウンさせることで実験条件を設定した.移動床実験により,実験水路において実際の感潮域に形成される分岐や蛇行といったTidal Creekの特徴をもった水路網を再現した.また,実験結果より水路網形成には引き潮が大きく寄与する一方,満ち潮による土砂移動も水路網の発達に影響を及ぼすことを明らかにした.また平面二次元ベースの地形変動モデルを用いることで,実験でみられた水路網の形成・発達を再現する数値計算を行った.その結果,水路網の形成間隔の再現性は格子解像度に依存するものの,分岐や蛇行といった実験でみられた水路網の特性は定性的に再現できることを示した.
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