2010 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀在華イエズス会士アミオの著作からみた中西思想交流
Project/Area Number |
10J02734
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新居 洋子 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アミオ / イエズス会 / フランス / 中国(清朝) / 18世紀 / 思想交流 / 満洲語 / 東洋学 |
Research Abstract |
中国で活動したイエズス会士アミオ(Jean-Joseph-Marie Amiot,銭徳明,1718-1793)は、古今中国の様々な事物について、膨大な報告を行った。これらアミオ報告の、18世紀中西交流史、および19世紀のフランス東洋学発展における重要性は、しばしば注目されてきた所であるが、報告からアミオの思想そのものを読み解こうとする研究は、これまでほとんど行われなかった。 そこで本研究では、アミオ報告を、アミオが参照した漢文・満文の典籍と共に読み解き、彼が中国の事物を説明するのに用いた様々な概念(scienceとart republique des Lettres、publicなど)を中心に分析することで、アミオ報告が18世紀フランスの思潮といかに関わっているか検討してきた。 こうした検討の基礎となったのが、7月にフランス国立図書館・手稿の部にて行った史料調査である。まず満洲語に関して、アミオ以外の在華イエズス会士の各手稿、およびアミオの満仏辞書の編纂・出版をてがけた東洋学者ラングレス(Louis-Mathieu Langles,1763-1824)の各手稿を閲覧したことにより、17~18世紀の在華イエズス会士による満洲語研究から19世紀以降のフランス東洋学発展にいたるまでの歴史における、アミオ報告の位置づけに関して、大きな手掛かりを得ることができた。 またアミオ報告の手稿と、Memoires concernant l'histoire, les science, les arts, les moeurs, les usages, &c.des Chinois全16巻(1776-1814)所収のものとの比較によって、Memoires収録の際削られた部分が、ものによってはかなり大きいことが分かり、今後比較検討をより深めていく必要性を痛感した。 そして、ソルボンヌ大学ピカール教授(Francois Picard)、北京の外交学院竜雲教授といったアミオ研究者、また国内の研究報告の場で出会った様々な研究領域の専門家との交流において、意見交換を行うことができた。 尚、以上の研究の成果については、別欄に掲げた各報告を行った他、各雑誌に論文を投稿中である(4月末現在)。
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