2011 Fiscal Year Annual Research Report
数値計算による超弦理論・M理論・AdS/CFT対応の直接検証
Project/Area Number |
10J02764
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
本多 正純 総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超弦理論 / ゲージ理論 / M理論 / 超対称性 / AdS/CFT対応 / 行列模型 |
Research Abstract |
本年度は、D3ブレーンが記述する4次元の超対称性理論を数値的に解析することにより、D3ブレーンの場合のAdS/CFT対応を直接検証する研究を行った。この超対称性理論の数値的な解析は今まで大変難しいと考えられてきた。そこで、我々は最近提唱された、数値的な解析が比較的容易なPlane Wave Matrix Modelと呼ばれる1次元のモデルとこの理論との等価性を用いることでこれを進めている。特に本年度においては、場の理論側であるスカラー場のウィルソンループと多点関数を数値的に計算し、その結果が対応する重力側で得られた結果と一致することを確認した。 また、ここで我々が用いた等価性は、高次元の場の理論と低次元の場の理論の間の等価性である、江口・川合等価性を拡張したものである。もしこの等価性が他の理論同士でも成り立てば、数値的な解析が困難な高次元の超対称性理論を、低次元の場の理論を用いて比較的容易に数値的な解析を行うことができる。そこで我々は、3次元球面上の幅広い超対称性理論と各々に対応する行列模型との間の等価性をある仮定の下に証明した。 さらに、我々はM2ブレーンの低エネルギー理論の候補であるABJM理論の数値シミュレーションを行った。このシミュレーションによりM2ブレーンの場合のAdS/CFT対応を直接検証すると共に、対応する重力理論の自由エネルギーに関して幅広いパラメータ領域での予言を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ABJM理論の数値シミュレーションは申請当時非常に難しいと考えていた。しかし、他の研究者によりABJM理論がある行列模型と等価であることを示され、我々はこの模型に対して数値シミュレーションを行うことうことで、M2ブレーンの場合のAdS/CFT対応の研究を期待以上に進展させた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度はABJM理論の自由エネルギーの数値シミュレーションを行ったが、平成24年度はそれ以外の物理量に関しても数値シミュレーションを行う。
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