2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロプラズマによるシリコン量子ドット合成と量子ドット増感太陽電池への応用
Project/Area Number |
10J02838
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
RYAN Gresback 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子ドット / 太陽電池 / プラズマCVD / 量子サイズ効果 / フォトルミネッセンス / ナノ材料 |
Research Abstract |
シリコンは結晶のサイズが10nmより小さくなると量子サイズ効果が出現し,結晶のサイズによってバンドギャップの大きさを制御できる。すなわち,結晶のサイズによって吸収する太陽光スペクトルを紫外から近赤外までチューニングできる可能性があり,実用に供されている結晶系シリコン太陽電池の効率20%を大幅に上回る40%を実現できる可能性がある。さらに,シリコンは安全性が高く豊富に存在する資源であることから,シリコン量子ドットは次世代太陽電池の実現に不可欠なキー・マテリアルとして期待が寄せられている。これまでの研究では,新たに開発したインフライト・プラズマCVD法を用い,サイズが揃ったシリコンナノ結晶(3nm~10nm±1nm)を連続的に合成することに成功している。さらに,シリコン量子ドットを有機溶媒に分散させたシリコンインクを用いることでシリコン量子ドットを薄膜化し,ショットキーバリア太陽電池を制作した。透明電極(ITO)に50nmから3nmの厚さでシリコン量子ドットをスピンコーティングによって製膜し,その上部にアルミ電極を真空蒸着によって製膜した。模擬太陽光の照射によってVoc=0.19V,JSC=9μA/cm^2の発電特性を示すことを確認した。残留した塩素によってシリコン量子ドット(ノンドープ)はp型半導体と類似の特性を示した。一方,課題として,塩素による電極の腐食が新たな問題として明らかになったほか,使用する溶媒の種類によって太陽電池発電特性の時間遅れが発生することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおりショットキーバリア太陽電池を制作することに制作し,さらにその発電特性を評価するためのシステムを立ち上げた。一連の研究により現状の課題を明確にすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,安価で豊富な四塩化ケイ素(SiCl_4)を原料にしていることが特徴の一つである。一方,シリコン量子ドットに残留した塩素が電極材料を腐食したり,量子ドット薄膜のキャリア導電率が変化するなどの課題が明らかになった。平成24年度の研究では,量子ドット薄膜の熱処理による脱塩素処理の検討,及び量子ドット薄膜の膜厚と光吸収波長依存性及びキャリア易動度の関係を明確にする。
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