2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J02848
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中根 右介 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Opsin5 / Deep brain photoreceptor / Photoperiodism / Circadian clock / Japanese quail |
Research Abstract |
これまで、「光周性を制御する脳深部光受容器の同定」を目的として一連の研究を行った結果、ウズラ視床下部の室傍器官(PVO)ニューロンにOPN5と呼ばれる光受容分子が発現することを見出した(Nakane et al.,2010)。そこで、OPN5発現ニューロンの光反応性を検証するために、スライスパッチクランプ法を新たに立ち上げ、3年目に計画していた「研究3:スライスパッチクランプ法を用いたウズラPVOニューロンの光反応性とその特性の解析」を実施した。その結果、OPN5免疫陽性ニューロンは、光照射に対して脱分極性の膜電位応答とそれに伴う複数の活動電位を発することが明らかとなった。活動電位の発生を抑制するテトロドトキシンや、脊椎動物において一般的な神経伝達物質の受容体(GABAA受容体、AMPA受容体、NMDA受容体)阻害剤を用いて、外部からのシナプス伝達を阻害しても光照射依存的な応答が持続することから、応答は記録ニューロンの内因性の光受容分子すなわちOPN5によるものである可能性が示唆された。これまで多くの脊椎動物の脳内で光受容分子であるロドプシンファミリーが発現することは知られていたが、実際にニューロン自身に光反応性があるかは明らかでなかった。本実験により初めて脳内に光受容器が存在する直接的な実証をすることに成功した。 次にPVOのOPN5発現ニューロンが光周性の制御に関わることを検証するために、目隠しおよび松果体除去を施したウズラにOPN5に対するsiRNAを脳室内投与し、PVOにおけるOPN5の発現をmRNAおよびタンパク質レベルで発現を抑制させた。その後、一日の長日刺激をウズラに与えた。結果、siRNA投与群において、長日刺激特異的に発現上昇を示す光周性制御遺伝子(TSHB)が有意に発現抑制されていた。 以上より、PVOにおけるOPN5発現ニューロンには光反応性があり、光周性の光情報を受容する脳深部光受容器として機能する可能性を示すことに成功した。
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