2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J02886
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池上 太郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | クサフグ / 月周リズム / 潮汐リズム / 産卵リズム / メラトニン / メラトニン受容体 / 時計遺伝子 / 松果体 |
Research Abstract |
本研究は、クサフグの月周同調産卵リズムの形成機構を解明するため、生体リズムの調節系である、時計遺伝子、period(per)、メラトニンおよびメラトニン受容体に焦点を当て、これらがどのように月周リズムの形成に関わるのかを明らかにすることを目的とする。本年度は、以下の二つに関して研究を行った。1)松果体におけるper遺伝子、メラトニン合成酵素、アリールアルキルアミンN-アセチルトランスフェラーゼ2(aanat2)遺伝子、およびメラトニン受容体遺伝子の発現の日周変動および概日変動:4種類のperサブタイプ遺伝子は明期にピークを持つ明瞭な日周変動を示した。また、恒暗条件下でも主観的明期にピークを持つ概日変動を示した。aanat2遺伝子の発現は暗期に著しく上昇し、明期には急激に低下した。恒暗条件下でも主観的暗期にピークを持つ24時間周期のリズムを示した。4種類のメラトニン受容体サブタイプ遺伝子は同期した日周変動と概日変動を示した。特に、概日変動は15時間周期のリズムを示し、概潮汐リズムとの関連が示唆された。2)松果体におけるper、aanat、およびメラトニン受容体の遺伝子の発現の月周変動:明期と暗期の一定の時刻に4日もしくは5日おきに1ヶ月間、松果体を採取して月周変動を調べた結果、per遺伝子およびaanat2遺伝子の発現は、明期、暗期ともに、月周に依存した変動は示さなかった。一方、メラトニン受容体遺伝子の発現は、暗期に月周変動を示し、そのピークは月齢6であった。これらのことから、クサフグの松果体には15時間周期を刻む時計と月周時計が存在することを示すとともに、メラトニン受容体の発現量の変動がクサフグの月周同調産卵リズムに重要な役割を持つことを示している。
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Research Products
(3 results)