2011 Fiscal Year Annual Research Report
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10J03018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 佳亮 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オキシトシン受容体 / アデノ随伴ウイルス / 母性行動 / 体温調節能 / Cre/LoxPシステム |
Research Abstract |
本年度は、オキシトシン受容体(OXTR)の脳領域・時期特異的な機能について解析した。 まず、これまでに作製したOXTRを発現するアデノ随伴ウイルス(AAV-Oxtr)ベクターをOxtr欠損マウスの特定脳領域にインジェクションを行い、領域特異的OXTR発現の回復を行ったうえで、OXTRが関与している体温調節能と母性行動について脳内の責任領域を特定した。寒冷曝露時の体温調節能、母性行動いずれにおいても、特定領域でOXTRを発現したところ、表現型が野生型に近づいた。このことから、OXTRの領域特異的機能を明らかにした。 また、脳内のニューロンは、単一領域でも様々な種類のものが存在する。そこで、「領域」から「細胞種」に特異性を高めた、遺伝子変換系の構築を行った。具体的には、AAVベクター構築時は敢えて遺伝子を逆向きに挿入し、Cre組換え酵素の存在下でのみ遺伝子が発現する実験系を作成した。様々な器官・組織でCre組換え酵素を発現するマウスは、世界中で数多く作製されていることから、この資産を生かし、Cre依存的に導入遺伝子を発現させる。これは、新規にマウスラインを作製するよりも容易であり、研究が短期間・安価に行える。現在は、このシステムについて、Cre存在下でのみ遺伝子発現することは確認し、OXTRの上流や下流の因子、また、OXTR発現ニューロンが持つ神経伝達物質、に着目し、様々な遺伝子を発現するAAVベクターを作製・解析している。この技術は、次に挙げるオプトジェネティクスや、特定領域の特定神経種に限定した破壊実験などで大きな効果を上げるものと考えている。 さらに、Oxtr-Creマウスと先の細胞種特異的遺伝子導入系を用いて、オプトジェネティクスを行う計画を立てた。現在は、実験系を導入するため、光受容タンパク質発現AAVベクターを作製するとともに、実験系を研究室内に構築している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オキシトシン受容体の持つ領域特異的な機能については徐々に明らかにすることができたことから、おおむね順調に進展したと考えている。しかしながら、「領域特異的」から、「細胞種特異的」な機能解析という、より詳細な解析が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在作成中であるCre依存的発現AAVベクターとオキシトシン受容体特異的Cre発現マウスを駆使し、特定領域のオキシトシン受容体発現ニューロン特異的な機能を明らかにする。また、オプトジェネティクスにより、オキシトシン受容体発現ニューロンを特異的に興奮/抑制させたうえで、オキシトシン/オキシトシン受容体が関係する行動や生理機能について解析する予定である。
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Research Products
(8 results)