2010 Fiscal Year Annual Research Report
〈同〉の哲学史の誕生:レヴィナス哲学史観の発生論的研究
Project/Area Number |
10J03034
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
馬場 智一 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | レヴィナス / レオン・ブランシュヴィク / ヘルマン・コーヘン / フランツ・ローゼンツヴァイク / 新カント主義 / ジャコブ・ゴルダン / ユダヤ教学アカデミー / マイモニデス |
Research Abstract |
本研究の目的は1930~50年代におけるレヴィナスの哲学史観の発生を思想史的観点から解明することである。 平成22年度はこの目的達成のための5つの予備的研究のうち、以下の2つを実施した。 1.ブランシュヴィクの絶版著作収集および哲学史観の解明。2.ユダヤ教学研究所関連の思想家(コーヘン、ローゼンツヴァイク、ゴルダン)におけるユダヤ教と哲学的伝統の関係についての歴史哲学的考察。 1.については、課題であった哲学的範疇としての「観念論」の役割の解明ができた。これによりレヴィナスにおける「観念論」概念の発生についても一定の見通しが得られたので、7月に計画通りトゥールーズの国際レヴィナス学会で成果を発表した。絶版になったブランシュヴィクの諸々の著作については、その後、8月末から7ヶ月に渡るフランス出張時に、ほぼ全てをそろえることができた。 2.については、渡仏後、全イスラエル同盟図書館の協力を得て、ジャコブ・ゴルダンのアーカイブで未公開草稿などを調査することができた。この調査により、中世ユダヤ哲学に関する講義ノート、コーヘンに関する未発表論文、200頁近い未発表の著作、思想形成を跡づける上で大きな手がかりとなる膨大な読書ノートなどを閲覧し、大量に複写することができた。これに基づきゴルダンのマイモニデス解釈の同時代的な背景と、コーヘンからの影響、そしてそれに連動した哲学史解釈上の広大な狙いが明らかになった。この成果と今後の課題を論文にまとめた。
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