2010 Fiscal Year Annual Research Report
転移活性をもつ内在性レトロトランスポゾンのエピジェネティックな制御機構
Project/Area Number |
10J03057
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
塚原 小百合 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | レトロトランスポゾン / セントロメア |
Research Abstract |
シロイヌナズナ近縁種Arabidopsis. lyrataのCOPIA93ファミリーレトロトランスポゾンは、セントロメアリピート領域特異的な分布を示す。このような分布を示す理由として、レトロトランスポゾンがセントロメアリピートに選択的に挿入する「挿入先特異性」を持つことが考えられる。本レトロトランスポゾンの挿入先特異性を示すため、形質転換体を用いてレトロトランスポゾンの転移の再現を試みた。 その結果、形質転換によりシロイヌナズナ(A.thaliana)に導入したA.lyrata COPIA93レトロトランスポゾン(Tal1と命名)は、シロイヌナズナゲノムにおいて転移活性を持ち、多数のコピーがセントロメアリピートに挿入された。このことから、Tal1が、セントロメアリピートをターゲットする性質をもつこと示唆された。 これまでに、酵母においてヘテロクロマチン領域特的に挿入するレトロトランスポゾンTy-5が報告される等、挿入先特異性を持つレトロトランスポゾンがいくつか報告されている。植物は酵母と比べ圧倒的に多いコピー数のレトロトランスポゾンを持つにもかかわらず、挿入先特異性を持つ植物レトロトランスポゾンの報告はなかった。 今回の結果は、植物レトロトランスポゾンの挿入先特異性を示す例であり、レトロトランスポゾンの転移機構や、植物ゲノムの成り立ちについて知る手がかりになると考える。
|