2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジャスモン酸12位水酸化酵素の同定及び、傷害応答性移動シグナル分子の解明
Project/Area Number |
10J03176
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北岡 直樹 北海道大学, 大学院・農学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物ホルモン / ジャスモン酸 / シトクロームP450 / 傷害応答 |
Research Abstract |
購入したシロイヌナズナ水酸化酵素シトクロームP450欠損株50種におけるジャスモン酸類の内生量の側定を行い、ジャスモン酸類水酸化酵素候補遺伝子の探索を行った。その結果、野生株に比べジャスモン酸イソロイシンが多く蓄積しツベロン酸イソロイシンの量が顕著に減少する変異株cyp94b3を得た。候補遺伝子の機能をさらに調べるために、CYP94B3を組み換え導入したメタノール資化酵母を作成し、そのジャスモン酸イソロイシンの水酸化活性を調べた。その結果、CYP94B3を導入した株で水酸化活性の顕著な増加がみられ、CYP94B3がジャスモン酸イソロイシン水酸化酵素であることが示唆された。ジャスモン酸噴霧時及び傷害応答時の、CYP94B3の発現パターンを調べたところジャスモン酸噴霧時及び、傷害応答時ともに発現の誘導が確認された。今後はこの酵素の機能をさらに検証していく予定である。ジャスモン酸は植物ホルモンの一種であり、植物体内において傷害応答、病害応答、成長など様々な機能を果たしている化合物である。今回発見した酵素による水酸化反応は主要な代謝経路であることが予想され、ジャスモン酸の内生量を決定する上での重要な因子である。すなわち、この酵素に関する遺伝子組み換え植物を作成することや、この酵素の阻害剤を利用することによりジャスモン酸類の内生量を操り、植物病原菌に耐性を持つ植物や農薬など、農業分野等で応用できると考える。また水酸化されたジャスモン酸は移動シグナルとして馬鈴薯の塊茎形成や傷害時に植物体全体でおきる防御応答に重要な役割を果たすと考えられている。今回の変異株等を用いてさらなる実験を進め、ジャスモン酸類の移動に関しても明らかにしていきたい。
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Research Products
(2 results)