2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J03624
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 啓一 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核融合 / 炉心プラズマ / 磁場閉じ込め / 密度崩壊 / 高周波揺動 / 径電場 / 分光計測 |
Research Abstract |
東北大学ヘリアック装置(TU-Heliac)ではプラズマ中に挿入した熱陰極をバイアスすることにより、小型装置では自発的に遷移することが困難である閉じ込め改善モードへ遷移させることが可能である。閉じ込め改善モード遷移後には径電場や急峻な圧力勾配が形成されると同時に、数100 kHzの高周波揺動を伴った密度崩壊がプラズマ中心部で観測されている。これまで密度崩壊直前に径電場が低下することが観測されており、TU-Heliacではポロイダルフローが主に径電場によって駆動されるため、径電場およびポロイダルフローが密度崩壊現象において重要な物理量になるものと考えられる。しかしながら、TU-Hehacでは密度崩壊をモニタ可能な時間分解能を有し、かつポロイダルフローの絶対値を計測可能な機器が整備されていない。そこで高時間分解能フロー計測法を新たに考案し、計測器の設計を行った。 本計測はTU-Heliacで最も良く用いられるヘリウムプラズマを対象とし、ヘリウムイオンからのスペクトルを分光器にて計測するため、計測対象となるプラズマに擾乱を与える恐れが無い。ヘリウムイオンの発光線を分光器内で2系統に分岐し、各系統においてスペクトルの一部を遮光する。フローによりスペクトルがドップラーシフトした際に、部分的に遮光された各系統の発光強度比が変化することを利用してフローを計測するという手法を考案した。考案した手法に対して、フロー速度とヘリウムの微細構造を考慮した発光強度比の定式化を行い、TU-Heliacで予想されるポロイダルフロー速度から発光強度比を算出したところ、原理的にフローが計測可能であることを明らかにした。上記で得られた結果をもとに計測に必要な性能を有する分光器の設計を行った。本計測手法が確立することにより、TU-Heliacにおける密度崩壊時のポロイダルフローの挙動が明らかになることに加え、小型装置におけるフロー計測に貢献できることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
考案した計測手法を既存の分光器に適用することができなかったため、新たに分光器を設計・製作する必要が生じた。これにより分光器に関する情報収集および光学部品の選定に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に考案し、既に設計が完了しているポロイダルフロー計測器の製作および調整を行う。製作した計測器を用いてTU-Heliacにおける密度崩壊時のポロイダルフローの挙動について明らかにする。また、TU-Heliacでは熱陰極によってプラズマ中の径電場およびフローを制御可能であるため、プラズマ中に形成されるフローの大きさが密度崩壊現象に与える影響について調査する。
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